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 眠り姫になりたい

身の振り方を考えてる。
うん、どうしようかなどうしようかな。
このままいけば破滅ってやつなんだろうけど。
うん、どうしようかなどうしようかな。

「な、なんか、言えよ……!」

真っ赤になる天敵の手をとることは、きっと破滅にしか繋がらないはずなんだけど。

「それ、『ノー』でもいいの?」
「…………よくない。」
「じゃあもうちょっとだけ待ってよ。」

ぎりりと下唇を噛む姿が、可愛く見えて思わず手を伸ばす。
親指が、唇に触れた。
思ったより柔らかいなって、思ったら手首を掴まれた。
びっくりして見上げたら、シズちゃんもびっくりした顔をしてた。

あは、まぬけ面だねお互いに。

「っ、ま、つのは、きらい、だ……!」
「……じゃあ嫌いだね、待たせる俺のこと。」
「……そ、れは……」

ぽすん

手首を拘束されたままかたい胸に体当たりしてみる。びくっと跳ねた肩と、同時に手首は解放された。
掴んでくれててよかったのに。って。
思いながら、仕方ないからぎゅって。

かたい背中が、もっと固くなる。
こわばってる。
緊張してる?

あはは、勝った気分。

「ねぇねぇ、シズちゃん」




「どうしたら、こんな未来になったのかなぁ」



見上げたら、シズちゃんの顔がじわじわにじみはじめて
かたい背中は泡のようにきえて

まばたきをしたら水滴が落ちて


あったのはまっしろな天井だった。


(ほらやっぱり、破滅しかない)


叶うことがないのは分かっているのだから
せめて、眠り続けられたらいいのに。




end

2014/04/04



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