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 極彩色の夢の名前

デリ臨と静臨です。浮気。




あなたがすきな自分でいたかった

あなたにすきでいてほしかった

それだけだった


「きみは、ひどいことをいうね」

「ひどい、か」

「うん、ひどいよ」

空を仰いだ綺麗な瞳から涙が溢れる。

好きだと伝えてみた。
そしたらひどいって、涙まで流して。

そう、自分はひどいことを言ったのか

気づかなかったなんて、ひどいな 自分は。

「じゃあ、いまのなしで」

「えっ?」

「ひどくない言い方、考えてみる。」

「……そうくるのか」

きょとんと目を丸めて、へらりと臨也がわらった。わらってくれた。

よかった。笑ってるの、好きだ。

「デリック、君はひどいけど、おもしろいね」

「臨也、面白いの好きだな。よかった」

「うん、好きだよ。君のことも、好きなんだよ」

「好きなのか?」

「うん。好きだから、いまの言葉をひどいって思ったんだよ」

「謎かけされてるみたいだ。好きなら、好きは嬉しいじゃねぇの?俺はいま嬉しい」

「わかってないね、両想いなんてつまらないだけだもの」

「つまらないのか」

「つまらないよ」

「臨也が言うなら、きっとそうなんだな」

自分はまだ経験したことがないから、わからないけれど。

「デリック、きいてくれる?」

「聞くぞ。臨也の話聞くの、好きだ」

「俺も。デリックに話きいてもらうの、好きだよ」

手のひらを合わせて、目蓋を落として。
唇でゆるく弧を描く表情が、すき。

「両想いなんてつまらないんだよ」

「うん、知ってる。」

臨也にきいた。

「片想いと思ってたときには必死で追い掛けてくれたのに、俺だけをみてくれたのに、誰よりもなによりも俺を選んでくれたのに」

「そうだな。臨也だけいてくれればいい」

「俺が好きだと、俺も好きだと知った途端に、追わなくなった、みてくれなくなった、他の人を選ぶようになった」

「それは、ひどいことだ」

「だろう?デリック、わかってくれて嬉しいよ」

「うん、ひどいこと言ってごめんな臨也」

「いいの。いいよ。でももう言わないで」

「うん、ひどくないように言えるまで、言わない」

「ありがとうデリック」



だいすきだよ



「…………」
「……いつまで寝てやがんだ、テメェ」
「……シズちゃん、おはよ。そんなに遅い時間?」
「…………7時」
「そう、早いね。ああ、今日はおでかけだっけ……えっと、そうだ幽くん。」
「おい、臨也」
「んー?」
「何の夢、みてた」
「へ?」
「………夢」
「どうだろう、忘れちゃった」
「…外国人の知り合い、っていんのか」
「……?そりゃあね、いるよ。」
「最近、会ってる奴は」
「最近、は………うん、サイモンとデニス、くらい?」
「………嘘じゃねぇな」
「たぶん。急になんなの…ヴァローナがいい子だから外国人の友達が欲しくなったとか?」
「ちげぇよ。いねぇなら、別にいい」
「…そう。で、起きなくていいの?」
「臨也」
「なに」
「好きだ」


「…………」
「ああ、そう。ありがとう」
「………お前は」
「…恋人だろう、俺たち」
「……ああ、そうだ。だから」
「ねえ、ごめん。まだ時間があるなら、のどが渇いたから水いれてきてくれない?」



「………デリック、」

「なんで、きみは」



ゆめのなかでしかあえないの



「うそ、ほんと、うそ、ほんと、うそ、……ほんと」

なくなった。台所に飾ってあった名前も知らない花。

誰が飾ったかもしらない極彩色の花。

「ほんと、あってない、臨也、恋人、すき」

呪いの言葉みたい

気付いてる?気付いてない?
聞いたことのない名前、しあわせそうな顔、となりに俺がいるのに。となりは俺のなのに。

「臨也、水」
「ありがと。」
「好きだ」
「……どうしたの、変だよ」
「好きだ、臨也」
「だから、なんなの?」

苛立った声、嫌そうな顔。
笑え、笑えよ、笑ってくれよ

あんなに嬉しそうに言ったこと、なんで俺には言ってくれないの

「好きだ」
「うん」
「信じてる、お前のこと」
「…知ってるよ。だから君は」



へいきでおれを、
ひとりぼっちにできるんだろう?




あなたがすきな自分でいたかった

あなたにすきでいてほしかった

それだけだった

どこで間違ってしまったのか


(はやく会いたいよ、デリック)



end


こんなに不安なくせに時間になったらトムさんとヴァローナのところに行っちゃって、帰ったら睡眠薬ばかみたいにのんで倒れた臨也さんがしっあわせそうに笑ってるから思わず首絞めちゃってはっとして新羅さんとこに行って泣き崩れるシズちゃん可愛いなって。
起きたら首に手の痕がついててなにしてんのって聞いたら夢の中の誰かなんかにやるくらいなら殺したかったって泣きながら言われてそんなに俺のこと好きなの?って笑う臨也さん可愛いなって。
独占欲が愛情確認な臨也さん愛しいです。ほんとは自分だって独占したい。
臨也さんがシズちゃんとしあわせに過ごす夢を遠くから見守ってデリックが「なんで俺はゆめなんだろう」って泣き続けてるそんな健気デリックが切なすぎて苦しくなってきた…。




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