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 プロのおしごと。

アイドルパロ設定のドタチンと臨也さんです。臨也さん総愛はスタンダードです。





「なんつー格好してんだお前は」
「今日寝起きドッキリがあるらしいから可愛い格好してるの。ねぇねぇ、一緒に寝よう」
にこにこと邪気の欠片もない顔で笑って臨也が部屋のドアにもたれ掛かる。どこから突っ込んでやろうか、ドッキリをなぜお前が知ってるは今更すぎる話だな…。
「また狩沢がうるさいから嫌だ。」
「シズちゃんに襲われたら恐いからドタチンに守ってもらってるていでいくの。シズちゃんは寝込みを襲うような最低な奴だって世間に…」
「寝込みを襲われるようなことしてんなよ…」
「ふふ、いいじゃん。」
もしも静雄が寝込みを襲いに来たところでその格好を見たら走って逃げるんじゃないだろうか。どうみても女の子用のパイル地のパーカーは、ショートパンツを履いていると信じたいがまるでなにも履いていないかのように錯覚してしまう。
「男が生足見せびらかすなよ」
「俺普段露出少ないから、こういうところでサービスしてあげないと。」
「急にそんなサービスしたら心臓麻痺おこすぞ」
主にうちのギタリストが。
とは口には出さない。
「ああ確かに、俺の肌見たら自信なくしちゃうよね」
「おう、もうそれでいいからな」
「ドタチンのジャージ貸して。」
「悪いが予備なんか持ってきてねぇよ」
「脱いでよ」
「はあ?」
「………眠たくなってきた。いいから、脱げよもう」
「オイ!?」
急に口調に苛立ちが混じって臨也がショートパンツを膝におろす。履いててくれてよかったとは思うもののそういう問題じゃない。
「いいいざやおい!!眠いのは分かったから!!!」
「ん…ドタチン脱いで」
「分かった、分かったから!とりあえずドアを閉めろ!!」
「んー…」
さっきからすべて部屋の前、つまり誰からでも見られる廊下で行われている。こんなところを誰かに…万が一にでも静雄にみられたらと思うと…、考えたくもないな。
「ドタチンに襲われちゃう…」
「あほか。帰してやろうか?」
「送り狼が好みなの?」
「…起きてんだろお前」
「ふふ、いいよ。ドタチンなら」
すう、と自分の胸に擦り寄ってやっとドアを閉めた臨也にどうしようもない絶望感を覚えずにはいられない。
たかだかドッキリにどうして命をかけなければいけないのか。静雄だけではない、自分自身が耐えられる気がしなかった。
手を使わずにショートパンツを脱ぎきって勝手に臨也がベッドに倒れ込む。からかいが半分だろうが、眠いのも事実なんだろう。こうなってしまえば抵抗するすべなど自分は持つはずもなく、仕方がないと履いていたジャージに手をかけた、瞬間

どん!
バタアアアン!

それだけだった。まるでドミノのようにドアが倒れて煙が舞う。言い訳が先か、逃げるのが先か、本気で究極の二択を浮かべている間に臨也も目が覚めたらしい。ベッドから起き上がって、その白い脚を惜しげもなく静雄に晒した。

「シズちゃん…何してるの?」
「っっ、門田ァ!」
「…………勝手に脱いだんだ…」
「なっ…!?」
「うわあ…これはアウトでしょ」
「新羅…今からちゃんとドタチンのジャージ履くつもりだったもん」
「それもどうかと思うけどなぁ」
クスクス笑ってきちんとたたまれたスウェットを差し出す。
「見てたんならもっと早く助けろよ」
「あは、僕は見てないよ。静雄君から臨也が門田君に服脱いで夜這いかけてるって聞いたから服を用意しただけ」
「夜這いって…もうシズちゃん、いくら俺が可愛いって言っても所詮は男の子だからね?ドタチン襲ったりしないって」
「…て、テメェならやりかねねぇと思ったんだよ」
「日頃の行いって奴だろうね」
ぶつぶつ言いながらも大人しく新羅の用意したスウェットを履く臨也に自分と静雄の溜め息が重なる。こいつは本当に自分をもう少し省みるべきだ。もしもあの格好を公共の電波に流したとして、何人が壁に頭を打ち付けることになるか計り知れない。そしてそれは臨也が言うような劣等感を抱いてしまう女の子だけに留まらず、なんなら犯罪を助長することに繋がるだろうとなかば本気で思わせてしまう折原臨也の恐ろしさだ。
「脚隠したからいいだろ、ドタチン寝よー」
「はあ!?」
「シズちゃん部屋もどりなよ、ドタチンは俺の部屋おいで?ドア壊れちゃったし。」
するりと手を繋がれて、同時に焦げてしまいそうな程の視線を感じる。ここまで素直に思われているというのに、どうして自分のことだけはこう鈍感でいられるのだろうか。
自分にとっては有難いことではあるのだけれども。
「静雄の部屋借りるから、お前は岸谷の部屋でも行ってろ。お前らが二人で寝てたら可愛いから」
「…っ、そ そう、かな」
「?」
頭を撫でると驚いたように臨也が目を丸めて顔を赤く染める。可愛いなんか言われ慣れてるだろうに、こいつのツボはよく分からない。
「…じゃあ、新羅、一緒に寝よっか」
「……いいよ。臨也ちっちゃいから特別ね」
「ちっちゃいって言うな!」
あっさりと細い指が自分の手から新羅の腕に移って、ほんの少しだけ自分の言葉を後悔する。
「それじゃ、おやすみ。また明日頑張ろうねー!」
「おやすみなさい、ドタチン」
「おう、おやすみ」


「よし、行くか」
「悪かったな…ドア、焦っちまって…」
「気にすんな。俺も同じ場面見たらドア壊してたよ。」
「えっ?」
「ん?」
慌てたような声に振り向くと、小さな顔を真っ赤にして静雄が目を泳がせている。
「い、いいいいざ、やが、おおれにあんな…っ」
「わっおい静雄!?」

ぼん!と爆発したように静雄がその場に崩れ落ちる。ほらやっぱりこうなった…!強靭な肉体とは対照的なガラスのハートを持つギタリストには臨也の無邪気さとサービス精神はもはや兵器だ。

「…仕方ない、運ぶか」

こういう静雄だからこそ自分たちのグループは恙無く臨也に好き勝手させることができているのだろうとは思いながら、自分の自制心と理性に今日も心からの賞賛を送った。



end


なんだかんだ仲良しアイドルグループです。





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