猫ごっこ 10


 

スザクの手が、俺の身体をなぞる。
まるで壊れ物に触るかのように、たどたどしい手つきでその輪郭を辿っていく。

触れられたところが、すごく熱い。
今まで感じたことのないその感触に、ぞくりと皮膚が粟立った。



「夢、みたいだ…。ルルーシュにこんな風に、触れることができるなんて」

吐息の混じった声で囁かれる。
とろりと溶けそうな眼差しで見つめられ、思わず胸がきゅうっと締め付けられる。



「あ…っ」

スザクの指が俺の胸の突起を掠め、かん高い声が漏れてしまう。
俺が反応したのが嬉しかったのか、何度もその場所をくりくりとこねくり回す。

「や…っスザク、」

ぷっくりと粒が尖ってきているのがわかり、なんだか異様に恥ずかしくなる。


俺はスザクの腕をなんとか振りほどこうと、おもむろにその腕を掴んだ。


「…い…っ!」

するとスザクが悲痛な声を上げ、ぱっと体を離す。

どうしたのかと驚いて見上げてみると、腕を押さえてうずくまっている。
そこには、無数の引っ掻き傷。

俺が、猫だった時にやったものだ。


「あ…スザク。さっきは、その…」

すまなかった。

そう謝ろうとした時、スザクの顔がこちらに向く。


「こんなことして…いけない子だよね」

押さえていた指の隙間から、切り傷が覗く。
滲み出ていた血はすでに固まっていた。

痛々しいその傷跡を見て、俺は何であんなことをしたんだろう、と後悔する。


「ルル」


ルル、と呼ばれてぴくりと反応する。
俺が猫だった頃の名前。

ルルーシュではなくて、スザクは今そう呼んできた。

俺が返事もできずに困惑していると、突然、スザクが自分の着ていた衣服を脱ぎ始める。
上着は豪快に投げ捨てられ、ズボンは下着ごと下ろされる。
お互い、同じ裸で向かい合う。

俺はスザクの行動に、硬直したまま動けないでいた。



「…舐めてよ、ルル」

スザクが、すでに勃ち上がっている自分の性器を取り出す。
え、と俺は聞き返した。


「言っただろ?飼い主の言うことを聞けない子は、お仕置きだって…」


舐めるって、これを…?
俺はごくりと唾を飲み込む。

正直、抵抗がないといったら嘘になる。
知識くらいならあるが、経験なんて皆無だ。


だけど、スザクのなら…。


膝を立てて布団の上に座るスザクの足の間に、俺はおずおずと顔をうずめる。

硬くなっているスザクのものに指で触れると、スザクが息を呑むのがわかった。
そのまま屈んで、先端を舌でぺろりと舐めてみる。


「……っ!」


びくん、とスザクの体が反応する。
見上げて見ると、恍惚とした表情をこちらに向けていた。


…感じて、くれてるのか?
男の俺がしても、気持ち悪く…ないのか?


なんだか嬉しくなって、俺は目の前にある茎を一気に口に入れた。

下から上へと、舌でゆっくりと舐め上げる。
口の中でびくびくと脈打っているのがわかる。
大きさも硬さもどんどん増していく。

俺は夢中になって、それにむしゃぶりつく。



「そういえば、ルルは…。僕の手にこぼれたミルクも、こうして舐めてくれたよね」

ふわ、と俺の髪をスザクが撫でる。

俺は目線だけ上に向けて、スザクを見る。
そういえば、あの時はお腹が空いてたから…。

だけど猫だった時にしたのとは違って、今はすごく恥ずかしいことをしている。

見下ろしているスザクの瞳が情欲に濡れていて、俺はそれに目が離せないまま先端を唇で吸い上げる。


「やば…。っ我慢、できない…かも」

掠れた声でスザクが小さく呟く。


「ねぇ…僕のミルクも、飲んでくれる?」

そう言って、いきなり俺の頭をぐいと手で押さえつけてきた。
スザクの性器が、喉の奥に当たる。

「ふぐぅ…っ!?」

息苦しさで、思わず涙がこぼれる。

しかしスザクはそのまま腰を前後に振って、自身を何度も口内へと押しつける。
スザクの息も、どんどん荒くなっていく。


「はぁ、あっ…」

やがて、スザクの体が大きく震えたのと同時に、俺の口の中に熱い迸りが放たれた。



スザクのものが、ゆっくりと口から引き抜かれる。
口の端から白い液がこぼれ落ちそうになって、俺はそれをごくりと飲み込む。

精液を飲み干した俺を見て、スザクがはっと我に返ったように驚いた。


「る、ルルーシュ…ごめん。嫌、だったよね…?」

しゅん、と悪いことをして耳を垂らす犬のように落ち込んでいる。

これじゃ、もうどっちがペットだかわからないな。
俺は、心の中でクスリと笑った。
確かに、口の中は苦くて変な味がするけど。


「でも、スザクのだから…」


スザクが、俺の口の中で達したことがとても嬉しかった。
俺が頬を紅潮させてそう言うと、


「……ルルーシュ!」

「ぅわ…っ!」


再び布団へと押し倒される。
今度は二人とも裸なので、肌と肌が密着する。


「やっぱり、ルルーシュは可愛いよ」

ぎゅう、とスザクの腕に抱きしめられる。


や、やばい。
そんなにくっつかれると…。

スザクの腹に、俺の硬くなったものが当たる。


「…ルルーシュ。もしかして、僕のを咥えながら感じてたの…?」

「……っ!!」


自身の状態を気付かれてしまって、俺は何も言えなくなってしまう。
あの状況で、感じるなと言う方が無理だろう!

俺は、もじもじと脚を閉じてそこを必死で隠そうとする。



「大丈夫だよ。今度は僕がルルーシュを気持ちよくさせてあげるから…」

スザクの手が、俺の中心をやんわりと包み込んでくる。
すでに先走りで濡れていたそこは、くちゅりと卑猥な音を立てた。

立ち上がっている性器に、スザクの指が容赦なく絡められる。
ゆっくり攻めたてられるように上下に扱かれ、俺はその感覚から逃げるように身を捩る。


「や…ぁっ、スザク、やめ…」

「やだ。止めない」


羞恥で顔に熱が集まる。
俺は恥ずかしくて、手の甲で口元を覆う。


こんな感覚、俺は知らない…!

今まで何度もスザクの手を想像して、一人でしたことはあったけど…。
それでも、こんな風に感じたことは一度もなかった。


「気持ちいい…?ルルーシュ」


身体が、変だ。

頭がおかしくなりそうだ。


徐々に高まっていく快感に、足の先までビクビクと震え立つ。
吐息と、ぐちゅぐちゅとした水音だけが部屋の中に響き渡る。





「すざ…、もう、イ…っ」

イキそうになって、スザクの腕に縋りつく。

しかし。
出ると思った直前で、するりと手を離されてしまう。


「ス、ザク…?」

突然スザクの手の感触がなくなって、急に現実に引き戻される。

イキたかったのにお預けをくらってしまって、どうしたのかとスザクの顔を覗きこむ。
おかげで下半身が限界だ。



「ルルーシュ…。この先もして、いい?」

「え?」

「やっぱり、二人で一緒にイキたいな」

「……っ!!」


スザクが俺の膝裏を抱えて、高く持ち上げる。

こ、この先って。やっぱり…。


両足を大きく開かされて、スザクの前に秘部が露になる。
予想通りの展開に、俺は焦り始める。


「ま、待てスザク!そこは…汚い、からっ」

「汚くなんかないよ。ほら、ルルーシュは綺麗だよ」

ぬるり、とスザクがそこをひと舐めする。
不安な言葉とは裏腹に、ひくひくと開いて期待しているようだった。

俺はうるさい心音を抑えつけながら、必死で考える。

もし、これでスザクに嫌われてしまったらどうしよう。
やっぱり男は面倒くさいとか思われたらどうしよう。
たくさんの不安が頭の中に流れ込んでくる。





――それでも、やっぱり俺は…。



「お、れも…。スザクが、欲しい…っ」


正直な、素直な気持ちを口にした。





スザクが、嬉しそうに微笑んだのが見えた。










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