05
きれいだ、って思った。
泣きながら、親父に笑いかけるこいつを。
はじめ、こいつ・・・レンを助けたのは、ちょっと興味があったんだ。
料理屋でうわさを聞いた後、"化け物"を見つけた、と叫んで走っていく男たちに、何か言いたげな少年を見つけたんだ。
「おい坊主。どうした?」
「・・・おにいちゃん、"化け物"は・・・あのお姉ちゃんは、悪い人じゃないんだ。」
「?」
「けがした僕を・・・助けてくれたんだ・・・」
泣きじゃくる子供から、どうやってか分からんがケガを治してくれていた、と言うことを聞くと、俺はとりあえず走ってた。
身寄りが無い。
周囲全てが敵。
なんか、親近感が沸いて。
走っていった村人の方に俺も向かったら、一人の女が囲まれていた。
まあ、そっからは無我夢中。
助けたかったから助けた。
なんか、守ってやりたかったんだ・・・。
ふと意識を戻せば、レンはこっちを向
いて、笑っていた。
初めて見せた、俺への笑顔。
『皆さん、これからよろしくお願いします!!』
「「「「「!!!!」」」」」
船員全員が驚き、硬直した。
レンの笑顔に。
まぁ、一言で言えば悩殺だ。
かわいすぎる。
反応が無い俺たちに、少し困ったように小首を傾げるレン。
慌てて俺は口を開いた。
「っおい、野郎共!レンは仲間だ!!間違っても手ぇ出すんじゃねぇぞ!!!」
「っおう!」
「そーゆーエースが手ぇ出すんじゃねぇぞ!!」
「レンの独り占めはさせねーぞ、エース!!」
「ばっ・・・ったりめーだろ!!」
船員のちゃかしに、顔を赤くする。
隣ではレンがまた笑っていた。
「グララララ!!今日は宴だ!準備しろ!!!」
「オオオオオオ!!」
親父の声とともに船が盛り上がる。
親父がレンを呼んで、何か話したかと思ったら、レンはこっちに来た。
『エース、助けてくれてありがとう。これからよろしくね!』
「っっ!!!///」
とびっきりの笑顔。
自分の熱が上昇していくのが分かる。
どうやら、今日俺には好きなヤツができてしまったらしい・・・。
2010.04.08
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