あなたと一緒に夢を見たから


 思い返してみるに3年間、一番傍にいたのは彼だった。1年の春に出会って、何の因果か、申し込んだアルバイト先は彼の職場。学校でも、折あるごとに、女子生徒に囲まれて往生している彼を助ける役割は自分だった。困っている彼を助けること。勝手に一任され、結局、ずっと完遂してしまった役目。学校の帰り道、バイト先、それから、週末に二人でいろいろなところに出かけた。たまに大失敗な選択をすることもあったけど、基本、二人で出掛けたことは楽しい思い出だった。……彼にとっても、そうだったら、良いのだけど。今となっては聞けない。彼は遠くへ行ってしまった上、連絡さえつかない。どうしてるのかな。一人でさびしくしてなければ、いいのだけど。
 3年間、ずっと一緒にいた見慣れた背中が見当たらなくて、まるで足場を失ったかのように心もとない。そうして、気づいた。知らないあいだに、ずいぶん好きになってしまっていたこと。こうして手遅れになってしまってから気づくなんて、どうしようもない。
 出来ることなら、また彼の傍で彼の夢を見届けたい。

[2011.05.01]

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