▼ 生きていてくれて ありがとう。
彼の戦死広報が届いて数ヵ月。
戦争が終わった。
もっと早く終われば…いや,最初から開戦しなければ,彼を含むたくさんの人がもっと長く生きれたのに。
何でもっと早く想いを告げられなかったのだろう。
早く言っていれば,こんなに後悔しなくてすんだかもしれないのに。
「そういえば,行く前に何か言いたそうにしてたっけな…。」
今,私がいるのは蓮二との思い出の場所。 私たちがはじめて出会い,最後に別れた所。
ここにいるときはいつも,彼が居た。
「会いたいよ…」
ここに居ても,寂しくなるだけ。
もう帰ろうと思ったとき,誰かが走ってくるのが見えた。
その人は,こちらに近づいてくる。
近くなればなるほど,その人が見慣れた彼だと言うことが解って。
私は思わず立ち尽くしてしまった。そんな私を,蓮二は優しく抱き締める。
「ただいま…名前,遅くなってすまない」
「遅いどころじゃないよ…
広報も届いたし,死んだと思ってたんだから…」
だけど,彼の腕を通して伝わる仄かな暖かさは本物で。
思わず涙がこぼれる。
「帰ってきたら伝えたいことがあると言ったな。」
「名前 好きだ。 いや,愛している。」
涙をぬぐいつつ,耳元でそう呟いた蓮二の耳はほんのり赤かった。
甘い話が読みたいと思ったので、柳さんはもちろんのことながら、彼の微甘をリクエストさせていただきました。
柳さんに愛しているとか耳元で言われたら照れますね。
何より、最後に耳を赤くしている柳さんの可愛さにやられました!
飛鳥様、本当にありがとうございました!
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