!宝珠
「今、帰ったぞ」
「おう。って何だ、それは」
「拾った」
「は?」
背中に少女を背負ったジョットが言い切る言葉にその場にいたアラウディを除く全員が惚けた声をあげた
「……誘拐、ですか」
「違う。誤解だ!」
「デイモン、今すぐこの子を見てやって
……君にしか頼めない」
ジョットの後ろから現れたアラウディにスペードは訝しげに見やる
「……まさか、とは思いますが」
「そのまさかだよ。……この子はエディルレイドだ」
「なるほど……それでは仕方ありませんね
今すぐ私の部屋に連れていきなさい」
すれ違う際に小声で伝えたアラウディの言葉が意味するものにスペードは自室に連れていくように促す
「究極に何なのだ?」
「分からないんだものね」
「……怖い……
人が、いっぱい……」
「安心してください。危害は加えませんから
とりあえず治療をしてあげます。君ならば、心配いらないとは思いますが、治癒能力では戻らない傷も見当たりますしね」
「……(こくっ)」
「では行きましょうか。ジョット、早くしてください」
「う、うむ……」
「エレナ、少しばかり手伝ってもらえますか?」
「いいわよ」
四人は少女を落ち着かせるように思い思いに話していきながら奥の部屋へと歩いていく