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何とか期末中はバイトの休みを貰え、いつも通り平均78をキープ出来、バイトに復活した。

今日のシフトは、店長と女性社員の宮崎さん、そして祐樹。
平日の夕方はあまり人が来ないので、明日のために見本用のカラーボックスを黙々と組み立てていた。

ふと、店長が事務室から出てくる。

「岡崎くん、これ来月のシフト。なにか不都合あったら言ってね」

「あ、ハイ…えっと11月の…20日は文化祭が…」

「え、そうなの?じゃあ準備とか忙しいね」

心配する店長に慌てて祐樹は両手を振って、

「いや!大丈夫っス、ぎりぎりまでなんとか…」

「そう?じゃあとりあえず18からはお休みとるね」

ここの店長はとても優しくて祐樹は好きだ。
今日出勤している宮崎も、よくお菓子を持ってきては孫を可愛がるように祐樹にくれる。
祐樹の家庭事情を知ってか知らないかは分からないが、とても癒された。

ふと、自分がここに勤める前からずっと共に居る店長にあの疑問をぶつけてみようと祐樹は口を開いた。

「…あの、西條さんって」

「うん?」

「…彼女とかは…」

何故だかもごもごとした口調になってしまう。
どうしてだろうかと思う間もなく、店長は朗らかに答えた。




「前、それっぽい人が来たね」




とてもキレイで可愛らしい人だったよ。
特に聞いては居ないんだけど、男前だし居るんじゃないかな。

なぜかその声が遠くに聞こえた。

(え、何で俺ショック受けてンの!?)

脳内で驚愕しながらも、表情を作って「そうっすよね」と答える。
店長はまた笑顔を浮かべながら事務室へと戻っていった。

店内BGMをぼんやりと聞きながら、カラーボックスを組み立てる。
木の独特の香りを吸い込みながら、相変わらず脳内は混乱状態だった。意味も無く。


(俺に彼女がいないのにいるっつうからムカつくんだ)

よくある妬みなのかもしれない。

(つーか性悪のくせにいるのがムカつくんだ)

そう思うと、一気にイラつきが増して来た。

(ムカつくムカつくムカつく)


「すみませーん」

びくり、と体が跳ねる。
慌てて振り返ればレジには客がまだかと言わんばかりに眉を顰めていた。
急いでレジに向かい、商品を打ってゆく。

ピ、ピ、ピ

無機質な機械音を聞きながら、祐樹は も、一度脳内でリフレインした。




(俺だって、大嫌いだ…)



西條の顔を思い浮かべて、想像の中で殴ってみる。
何だかそれだけでスッキリできて、祐樹は手早く会計を済ませた。

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