揺らぐ水面にキスを1


19歳グラハム×16歳ニール
CB加入前の捏造話【連載中】

モブ×ニールの性描写がありますので苦手な方はお気を付けください。














「ひっ、あぁぁっ!」
本心が半分、演技が半分の嬌声をホテルの一室に響かせて、ニール・ディランディは背を思い切りしならせた。五十がらみの男の下肢にまたがり、弛みのある相手の腹に片手をついて力の入らない腰をゆらゆらと揺らめかせる。いかにも高級そうで柔らかなベッドに横たわった男の下卑た視線がニールを舐める。脂と汗の浮かぶにやけた笑顔に嫌悪感はあるが、逃げ出したい程ではない。その視線に釣り合う程度には卑猥な表情をしているのだろう自覚はある。何も身に付けていない白い裸体を晒し、男のペニスをアナルに突っ込まれてよがる。
「は、ぁ、もう……ッん」
愛を抱いてもいない相手に抱かれて悩ましげな声を上げ、女みたいに身体をくねらせ、シーツをぎゅっと握って男を煽る艶めいた表情を浮かべ、勃ててとろとろと先走りを溢す。それで金が貰えるなら構わない。暗殺とセックスなら比べるまでもなく後者の方が良い。
「あぁ、はしたないね。お漏らししてるみたいだ」
にやにやと笑いながら蔑む言葉に舌打ちする気力はない。もう慣れた。
「ひぁ、ん……イ、くっ……」
白髪が混じり始めた濃い茶色を振り乱す白人の男にぐん、と下から突き上げられて奥を擦られれば喘ぐしかない。自身が限界まで膨れたとき、根元を強く掴まれた。
「っぐ、痛っ……」
「君、まだ私がイッてないだろ?」
大したサイズでもないそれが中を掻き回す。滅茶苦茶に動くそれはイイ所を捉えるでもなく、相手に対する優しさを含んでいるでもなく、ただ好き勝手に暴れた。圧迫感しかない。
「やぁ、早、く……」
ましてや絶頂をせき止められると不快な快楽が身体の中に渦巻いて、疼く身体には力が入らない。相手をなんとか絶頂に導こうとニールは下腹部に力を込めた。きゅう、と締まる内壁が相手自身に絡み付く。
「くっ……」
余裕を装っていた男の眉間に皺が寄る。しめた、と自ら身体を上下に揺すろうとした時、来客を示すチャイムが鳴った。複数での行為といった趣向はニールには伝えられていない。不意の来客だ。スーツをだらしなく崩した男は不快感を顕にした。
「誰だね」
快感に耐えて片方の目をすがめている男には羞恥心もないのか、ドアの外の誰かに平然と呼び掛ける。
「大尉」
インターホンを通しての音声通信で凛とした声が聞こえると、男の苦虫を噛み潰したような表情が一気に崩れ去って笑みすら広がった。
「あぁ、入りたまえ」
ニールは繋がったまま玄関へ繋がる部屋の出入口に視線だけ送る。漸く終わりが見えていたところを邪魔したのは一体どんな奴だ。
ドアノブががちゃりと下に動き、入ってきた青年はドアを閉めるとてきぱきと敬礼をした。
「大尉」
そうしてから初めて部屋の状況を理解したのか、青年は目を丸くした。見事な碧眼が見開かれる。豪奢にすらうつる癖のある金髪は淫靡さの漂う空間でさえ輝きを失わない。精悍な顔つきで軍服をきっちりと完璧に着こなしているが、見たところ歳はニールと同じかそれより下くらいだろうか。その美貌にニールは目を奪われた。
整った顔は、しかし狼狽えていた。目の前でベッドに横たわり全裸の男の腰にしっかりと手を添えている上官の姿を目にしたのだから、普通の反応だ。
「私は時間丁度に来るように言ったはずだね、エーカーくん。少し早いじゃないか。……まぁいい」
男は入ってきた青年の方を見ながらにやりと口角を持ち上げた。止まっていた手のひらが突然ニールの腰を撫で上げる。
「あっ……」
ぞくりとした快感が背筋を這い上がってニールはびくんと腰を跳ねさせた。くいくい、と青年に手招きしながら男はニールを大きく突き上げる。珍しく前立腺を擦られてびくびくと震える。ドアの前で立ち尽くす青年の視線が自分に釘付けになっているのがわかる。男娼が物珍しいのか、向けられた視線が離れることはない。よくあることだ。
「……外におりますので、終えられましたら合図を」
低く押し殺した声で吐き捨てるように言った青年はニール達二人に背を向けた。がちゃりとドアノブの音。青年が退出する間も惜しいのか、男がむやみやたらに腰を動かす。早く仕事を終える一心でニールは腰を揺らし、せめてイイ所にあたるように動かし、緩急をつけて中のものを締め付けた。
「あ、あ……外し、て……ッ」
ちらりと向けられた青年の視線は気にならない。蔑みだって慣れている。獣みたいに快楽を漁って尻を振り、媚びる。
ばたん、と音がして金髪が視界の端から消えた。途端、男の腰つきがますます激しくなった。
「っん、く……っ」
一際強く下肢を押しつけられ、奥にぬちゃりと不快なものが満ちる。同時に自身を拘束する指が外され、ニールは男のシャツに今日何度目かの精を吐き出した。
「ふぁ、あ……」
余韻にびくびくと震えるニールの体内から萎えたそれがずるりと抜かれる。白濁がどろりと肌ざわりの良いシーツを汚した。力の入らない体でなんとか男の体からおり、シーツにぺたりと座り込んだ。
「君、名前はなんと言ったか」
早くも息を整え始めた男は上半身を起こしながらニールに問い掛ける。
「名前は、伝えないことになっています」
それが男娼と客の間に引かれた一線だ。容姿や年齢といった行為に必要な個人情報以外は伝えない決まりだ。この男とは今日が初めて。好みは白人の少年だとかで、ニールに仕事が回ってきた。
「そうだったな。最上級の子を、と頼んだら君が来た。気に入ったよ」
シーツの上に真新しい新札が何枚か置かれた。チップだ。
「私は昨日この街にビジネスで来たんだか、一週間滞在する予定だ。相手を頼む」
これで暫く仕事に困らない。酷く羽振りの良い客だ。ニールを何度も抱くというのは財産を意味する。
近くのタオルを手に取ると蕾から流れ出る白濁でべたべたに汚れた下肢を簡単に拭い、投げ捨ててあったシャツと下着と上質なスーツを着て身仕度を整え、チップをポケットにしまう。
「ではまた。ミスター」
寝室を出、廊下を歩き、玄関を出る。そこに先程の青年の姿はなかった。ドアを静かに閉める。
エレベーターに乗り込み、眺めの良い最上階からロビーへ。豪勢な内装のそこで先程の金髪を見つけてひらりと手を振ってみる。視線は合わず、彼は向かい側のエレベーターに姿を消した。ニールのことなど見たくもないのかもしれない。
高級ホテルを一歩踏み出れば中の静謐など無関係な雑踏だ。道行く人々はニールになど目も留めない。太陽はまだ煩いくらいに照っているがその光は弱々しい。ヨーロッパの冬は寒く、吐く息は白い。こんな朝から男娼を抱え込むとは好色な軍人だ。小説にもならないくらいチープで陳腐。
彼の瞳は青空よりも青かったなどというつまらない思考を首を振って捨て、汗と唾液と精液に塗れた不快な体を早くさっぱりさせようと人混みに紛れた。







続きます。



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