偽り王子にGrazie! | ナノ


  1-3


「それにしても、日本とは大違いの町だな」


 町並みも、言語も、文化も。

 別にホームシックというわけではない。家を捨てて今この場所に居るようなものなのだから、帰ろうとも思わない。

 ただ単純に、


「いい町だな……」


 そう、思っただけなのだ。


 そんな事を考えながら歩いていると、曲がり角から誰かが出てくる事に気付かなかった。


「っ、」

「わっ!?」


 意識を現実に戻したその時、ドンッ、と音をたてて、曲がり角から出てきた通行人とぶつかってしまった。

 そのぶつかった衝撃でその場に転ぶも、急いで起き上がって、相手の無事を確認する。


「Mi scusi!怪我はないか?」

「ってぇ……」


 ユキの前には、ユキと同じように転んだらしい、同年代らしき茶髪の青年がいた。


(髪の毛サラサラだ……目は金色だし、綺麗だ……ってそんなこと考えてる場合じゃない!!)

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