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「それにしても、日本とは大違いの町だな」
町並みも、言語も、文化も。
別にホームシックというわけではない。家を捨てて今この場所に居るようなものなのだから、帰ろうとも思わない。
ただ単純に、
「いい町だな……」
そう、思っただけなのだ。
そんな事を考えながら歩いていると、曲がり角から誰かが出てくる事に気付かなかった。
「っ、」
「わっ!?」
意識を現実に戻したその時、ドンッ、と音をたてて、曲がり角から出てきた通行人とぶつかってしまった。
そのぶつかった衝撃でその場に転ぶも、急いで起き上がって、相手の無事を確認する。
「Mi scusi!怪我はないか?」
「ってぇ……」
ユキの前には、ユキと同じように転んだらしい、同年代らしき茶髪の青年がいた。
(髪の毛サラサラだ……目は金色だし、綺麗だ……ってそんなこと考えてる場合じゃない!!)
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