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=7粒目 ランスロット=
「先輩。そのチョコはどの英霊にさしあげるのですか?」
マシュはかわいい後輩だ。普段はおとなしい彼女だが、とあるサーヴァントにだけ過剰な反応を示す。まるでレイシフト中のような気迫のこもった表情だった。
へっ?と驚きつつ渡す英霊の名を告げると、マシュの周囲にただよっていた殺意が消え、ほんわかとしたいつものマシュに戻った。「…よかった。今日だけは絶対に死守しますから…」
「…とまあ、マシュがそんな感じだったから当日に渡せなかったの」
「そうでしたか」
別の日にこっそり会ったと知ったら、マシュは慌てふためくかもしれない。
バレンタインぐらい許してくれても良いのにね、マスターはつぶやいた。
「一度ゆっくりランスロットと話せば良いのに」
「それだけ以前の私は愚かなことをしたのです。許されなくても仕方ありますまい」
円卓最強と名高い彼はおだやかな表情を浮かべていた。
「今もランスロットは悪い人?」
「…人聞きの悪いことを。だったら、確かめてみればいいでしょう?」
親しい人物が『嫌い』だと言っている。それなのにきちんと話して知りたいというのは、『すでにあなたに好意を抱いている』と言っているのと同じだった。
7粒目
後日、マスターにこっそり手紙が届きました。