次の日も、また次の日も、クーフーリンは黙りこくっていた。エウェル姫が求める大手柄をいったいどうやったらたてることができるか考えつづけていたのだ。
 そこへ、耳よりな話が聞こえてきた。影の国というところに、おそろしく強い女戦士スカサハがいる。もしこの女戦士スカサハに弟子入りして武術を学べば、並ぶ者なき最高の戦士になれるというのだ。そこでクーフーリンは乳兄弟のコナルに別れを告げ、御者のロイグにこう言った。
「これから女戦士スカサハを探しに、海の向こうにある影の国というところへ行ってくる」
 ロイグはいっしょに行こうと言ったが、クーフーリンは断った。「おれは求めるものを得るために、海の向こうへ行かなくてはならない。おまえはおれが帰ってくるまで馬のめんどうをみていてくれ」
 こうして、クーフーリンは旅立った。
 クーフーリンは影の国とスカサハを探して長いことさまよい、何度も死にそうな目にあった。危険や災難に見舞われ、もう前進できないと思うこともあったが、絶望することはなかった。おかげでとうとう、絶壁の海岸から深く切れこんだ入江へたどり着いた。島はわずかに緑におおわれていたが、あたりを黒い岩々が、まるで牙をむいたようにとり囲んでいる。島のどこかで、かまどの煙があがり、青銅の武具に当たって陽がきらめくのが見えた。崖の手前に粗末な芝土屋根の小屋や馬用の囲いやらが立ち並んでいた。小屋の前の草地では、若い男や少年たちがハーリング(アイルランドの国技で、ホッケーに似た球技)をやっていた。
 クーフーリンは男たちのほうに歩いていった。男たちはクーフーリンに気づくと試合を中断し、リーダーらしい若者がハーリングのスティックを持ったまま、こちらにやってきた。背が高く、銀に近い金髪を日焼けした首のあたりまで伸ばしている。
「ようこそ、見知らぬお人。あなたもわれらの仲間だろうか?」
「ここがどこかによるな」クーフーリンが言った。
 年下の少年たち何人かが、クーフーリンがこの場所を知らないことを笑っていた。しかしリーダーらしい若者は礼儀正しく、スティックで方向を指して言った。「あれが女戦士スカサハの砦だ。われわれは彼女に武術を習いにきており、入江のこちら側に寝泊りしている」
「ああ、それなら、おれも仲間だ。おれの名前はクーフーリン。アルスターのコノール王の親族の者だ」
「それはけっこう!ここにいる者たちはほとんど皆、アイルランドから来ている。おれの名前はフェルディア。ダマンの息子で、コノートの出身だ。さあ、こっちに来て食事をするといい。それから旅のほこりを落として、故郷の話をしてくれ」
 ハーリングの試合はすっかり忘れられ、みんな大喜びで、クーフーリンを中央の大きな小屋に連れてきた。
 クーフーリンはみんなといっしょに飲み食いした後で、フェルディアと外へ出た。入り海のなかの険しい絶壁の島に、砦がそびえている。「女戦士の砦へは、いったいどうやって行くんだ?」
 フェルディアは笑って、首を振った。「毎朝、スカサハのほうから、われわれのところへ来てくれる。だがおれたちなかで、あの島へと渡ったものはいない」
 しかしクーフーリンは、深淵をまたぐ橋らしいものがあることを見取っていた。「なぜだか、わからないな。女戦士が渡ってくる橋があるなら、反対に渡れば、われわれだって向こうにいけるだろう?」
「あれは『跳躍の橋』と呼ばれる橋なんだ。この橋はだれかが一歩でも足をかけると、橋のまんなかが暴れ馬のように跳ねあがり、足をかけた者を振り落としてしまう。たとえまんなかより先に飛べる者がいても、すべって岩場に転落し、海の餌食となるだろう」
 ところがクーフーリンは、翌朝スカサハが橋を渡ってくるのを待つ気になれなかったので、こう言った。「旅の疲れを取るのに一時間休ませてくれ。一時間休んだら、おれが橋を渡ってみせる」
「羽もそろわぬヒヨコのくせに、大口をたたいたな。だいいちあと一時間したら、日が沈んでしまうぞ」
「かまうものか。代わりに月がのぼるじゃないか」クーフーリンは言った。

 クーフーリンは中央の小屋に入ると、マントにくるまって火のそばに横たわり、しばらく眠った。狩人にはおなじみの、耳をそばだてたままの軽い睡眠だった。やがて闇がやってきて、太陽を呑み込み、代わりに月を吐きだした。クーフーリンは起き上がって伸びをした。そして『跳躍の橋』に向かうと、後ろを大勢の若者が、笑ったりふざけたりしながらついてきた。
 月明かりのもと、入り海は暗黒の裂け目となり、幅の狭い橋はいっそう滑りやすそうに見えた。クーフーリンは橋の真正面に来ると、マントを脱ぎ捨て、走りはじめた。どんどんスピードを上げ、峡谷の寸前で全身の力をこめて、橋のまんなかめざして思いきり跳んだ。だが着地したのはわずか手前だった。橋は跳ねあがり、暴れ馬のようにクーフーリンを蹴りあげて、見物の若者たちのどまんなかへ跳ね飛ばした。クーフーリンは怒りに燃えて立ちあがると、再び橋に向かって走り、また跳んだ。今度も橋は跳ねあがり、ばかにしたように挑戦者を放り返した。クーフーリンはさらにもう一度挑戦したが、三度目もまた仲間の上に投げ返された。
 クーフーリンは身も心もうちのめされ、傷ついていた。よろよろと立ちあがったクーフーリンを見て、若い戦士たちはどっと笑い声をあげ、フェルディアが叫んだ。「思い知ったか、チビ犬め。朝になってスカサハが来るのを、おとなしく待つんだな!スカサハに赤ん坊みたいに抱っこして、向こう岸へ渡してもらうといい」
 クーフーリンは激怒したが、歯を食いしばってこらえ、叫び返した。「もう一度やってやるから、見てろよ。チビ犬でも噛みつくことを、教えてやる!」
 四度目に走りながら、クーフーリンは渾身の力をふりしぼった。激しい気合いが入ったあまり、それまで自分にあるとは知らなかった力がわきあがってきて、めりこむばかりに崖を蹴った。目のなかで月光が真紅に染まり、頭のなかで大海がどくんどくんと音をたてたが、クーフーリンの足は『跳躍の橋』のちょうどまんなかを、しっかりと踏んだ。そこでもう一度跳ぶと、一挙に橋を飛びこえることができた。
 クーフーリンは門の前にたどりつくと、短剣で叩いた。番犬が吠え、それをなだめる声がした。門がひらくと、ひきしまった顔の赤毛の女が立っていた。女はまわりを犬にかこまれ、大きな槍に寄りかかってクーフーリンを見つめていたが、「夜の明かりが灯るこんな時刻に、スカサハの砦を訪ねてきたおまえは、いったい何者だ?」と言った。
「『クランの猛犬』、クーフーリンと申す者。あなたの教えてくれる武術を学びたくて、見参しました」
 女はのけぞって、カラカラと笑った。「さあ、向こうへ帰るといい――帰りはずっと簡単だ――それからひとつ言っておくが、わたしがちゃんとしたやりかたを教えるまで、二度とさっきのように跳ぶなよ。何十年に一度の逸材かもしれぬものを、むやみと死なせたくないんでな!」
 こう言われて、クーフーリンは族長にするように、額に槍をあてて敬礼すると、さっと踵を返してもどった。橋の向こうでは、さっきの若者たちがまだ群れていた。クーフーリンはすぐにフェルディアに気づいた。すでにクーフーリンの手は腰の短剣の柄にかかっていた。
「これでわかったか、ダマンの息子フェルディア? ついでに教えてやるが、アルスターでは新参者をよってたかって笑いものにするようなことはしない。コノート人には、礼節というものを教えてやる必要があるようだな」
 だが白い月明かりのもと、フェルディアは岩に腰を下ろしたまま、クーフーリンを見あげて笑っていた。
「立て!立つんだ、フェルディア!おまえはでかくて強いくせに、このチビ犬がこわいか?」
 フェルディアは尻の下の岩に貼りついたようにじっとしていたが、矢のような早技で立ちあがったかと思うと、クーフーリンのひざめがけて突っ込んだ。
 クーフーリンは命がけの跳躍に力を使い果たしていたうえ、油断もしていた。足から下を取られ、もんどりうって倒れた。次の瞬間、フェルディアはクーフーリンに長い脚を巻きつけて馬乗りになり、大きな手で、短剣を握ったクーフーリンの手首を草地に押さえつけた。クーフーリンは自由になろうともがいたが、なんとも悔しいことに、金髪長身のコノートの戦士は笑っているのだ。
「おい、チビの黒シャモ、暴れるなよ。いいか、おれを殺そうとする前に、ちゃんと思い出せ」フェルディアはクーフーリンの耳にささやいた。「おまえは三度、橋に跳ね返された。もしおれが怒らせなかったら、最後の一滴まで力をふりしぼることができたか? おまえは怒りに燃えたから、跳べたんだ。ちがうか?」
 クーフーリンは崖の草に横になったまま、ハッとして思いをめぐらした。すると短剣の柄を握っていた指から力が抜けて、笑いだした。じきにふたりは起きあがり、たがいに相手の肩を抱きあって、小屋にもどった。そこにいた仲間たちが後ろにつきまとって、いったいなにがおもしろかったのか聞きだそうとしたが、ふたりともとりあわなかった。


 そのあとの一年で、クーフーリンは女戦士スカサハから、どんな鎧も突き通すという『ゲイ・ボルグ』と跳躍の橋を跳び越えられる『英雄の鮭飛び』を学んだ。また、スカサハと戦っていた女領主アイフェとその軍勢を打ち負かし、彼女とむすばれた。エウェル姫のことはすっかり忘れていた。
 だがアイフェには領地があり、クーフーリンもまたアルスターに戻るさだめにあった。クーフーリンは自分の指から金の指輪をぬきとると、アイフェに言った。
「生きているあいだにわたしたちは二度と会うことはあるまい。だがもしお前がおれの子供を産んでくれたら、この指輪をはめられるようになったときに、アルスターにいるおれのところへ寄こしてくれ。その子をコンラと名付け、おれのもとに寄こすときは三つのゲシュ(禁戒)を課してほしい。ひとつ、名を聞かれても答えてはならない。ひとつ、誰に命令されようと、進む方向を変えてはならない。そして、戦いを挑まれたら断ってはならない」

 別れの日がちかづくと、スカサハは自分の剣と魔槍ゲイ・ボルグをクーフーリンに渡した。そうするうちにクーフーリンが、影の国と仲間たちに別れを告げる日がやってきた。それは、ロイグや乳兄弟のコナルよりも近しいものになっていたフェルディアと別れる日でもあった。
「コノートに来て、コノートの戦士になるつもりはないか?」フェルディアが言った。
「お前こそ、アルスターの戦士になるつもりはないか?」
 ふたりは『血の兄弟』の証をたて、命あるかぎり、たがいに忠誠をつくすことを誓い合った。どのようなかたちで再会することになるか、ふたりとも知るよしもなかった。


――『炎の戦士クーフリン』より抜粋。一部省略の
  ため改変(名前の表記は本編と統一)




 ついにクーフーリンがアルスターに帰ってきた。いっそうたくましく戦士の面構えになったクーフーリンを、乳兄弟のコナルをはじめ大勢の戦士が喜んで迎えいれた。 ひとしきり歓迎された後で、ロイグの戦車に乗ろうとクーフーリンが彼の館にやってきたとき、見知らぬ少女と出会った。
「………」
 まず、真っ先に目をうばわれたのは燃えるような真紅の髪だった。それから鹿のように軽快な足取り。目が合うと、まるで魔法がとけたようにクーフーリンは正気をとりもどした。
「なんだ、ナマエか」
「…あなたは、クーフーリン?」
 幼なじみの少女がきちんと女性らしい姿をしているのを見て驚いた。クーフーリンは照れくさくなって、「ロイグはいるか?」と矢継ぎばやに聞いた。
「兄なら厩舎にいるわ」
「そうか、行ってみよう。おまえは厩舎に行かないのか?」前よりおとなしいナマエに違和感を感じてクーフーリンは聞いた。
「しばらく行っていないの。服を汚してしまうし」ナマエはドレスの裾をちらりと見て言う。だが、久しぶりに会ったクーフーリンともっと話したいと思ったのか、案内役を申し出た。「私がいたほうが兄を早く見つけられるでしょ。案内するだけなら汚れないわ」

 クーフーリンは丘の上の厩舎に行く途中、影の国や道中であったことをナマエに語って聞かせた。ナマエはおもしろい場面になると声を上げて笑った。見た目はおとなびても、中身は全く変わっていないことにクーフーリンは安堵した。
 二人が厩舎にやってくると、真っ先に気づいたのは兄のロイグではなく雌馬のマハだった。ナマエの匂いがわかったのか、高くいななきながら馬房から顔をだし、目を細めながら鼻をすり寄せてきた。「マハ、ひさしぶりね」とナマエも嬉しそうに首筋をなでた。
「クーフーリン!」ロイグは馬の手入れをしていたが、道具を置いてすぐに駆けよってきた。二人は肩を叩き合った。「久しぶりだな。強くなれたか? またおまえと戦車に乗れるのが嬉しいぞ」
「ああ。おれもだ」
 そのあとは三人で連れだって館に戻り、一晩じゅう、身に起きた数々のできごとを語り明かした。次の日も、また次の日も、クーフーリンはたびたび厩舎や館をおとずれて、まるで子ども時代に戻ったかのように共に過ごした。

「エウェル姫のところへは行かなくていいのか?」ロイグが聞いた。
「ああ、しばらくはいいと思っている。時間ならたっぷりあるからな」

 その言葉通り、クーフーリンは仲間と狩りやら鷹狩りやらに興じていて、フォルガルの砦には近づかなかった。ナマエも兄とクーフーリンが一緒のときは必ず顔をみせた。子どものころ、二人がいるなら自分もいるのが当然、と付きまとっていたように。
 クーフーリンは影の国での経験を通して、どこか大人びたようにナマエは感じた。かれはナマエに修練と戦いの話しかしなかったが、それでも彼女は何かを感じ取っていた。

 だがある日のこと。庭で女たちが話しているところにクーフーリンが通りかかった。クーフーリンは挨拶しようとしかけたが、一番年長のフェデルムはそれを無視して、冷たい一瞥を投げかけて立ち去ろうとした。
 クーフーリンはびっくりして、半分笑いながら呼びかけた。「フェデルム、どうして無視するんだ? 今までおれと話さなかったことなんか、なかったじゃないか」
 フェデルムの目がキラリと光った。「なぜかって?あなたは忘れっぽすぎると思わないの? スカサハのところへ武芸を学びに行く前は、エウェルを父親から奪うんだと、火のように熱くなっていたでしょうに。マンスターの王が彼女に求婚しているのを知らないの? エウェルもあなたと同じくらい忘れっぽいといいのに、そうでなければ彼女はあなたを求めて泣きくらしているでしょうからね」
 クーフーリンはフェデルムに殴られたように感じた。「マンスターの王だって?そんなことになっているとは知らなかった!」
「人の話を注意して聞いていれば分かったはずよ。誰もが知っている噂ですから」

 クーフーリンはそれ以上何も言わずに向きを変え、戦車置き場の方へ大股で歩いていった。そして手入れをしていたロイグに、すぐに馬にくびきをつけるようにと大声で言った。「御者の王ロイグよ、狩りはしばらくお預けだ。『抜け目のないフォルガル』の砦へ、花嫁をつれに行くぞ」
 ロイグは待ちかねていたように言った。「花嫁をさらいに行くなら、花婿の付き添い役が必要だな」
クーフーリンは、それもそうだと、通りかかった乳兄弟のコナルや、叔父のフェルグス、ウシュナの三兄弟らに声をかけた。
 表のさわぎを聞きつけて館から出てきたナマエは「何ごとなの?」と聞いた。ロイグが答えた。
「花嫁をつれに行くんだ。クーフーリンのな。お前は、女たちといっしょに迎え入れる準備をしておいてくれ」


 男たちの戦車が出たあと、太陽がしずんで月がのぼった。月光は青白く、森からは狼の遠吠えが聞こえてきた。女たちは男たちが無事に帰ってこられるようにと、かがり火をいつもより高く灯した。ナマエは落ち着かず、館のまえを行ったり来たりしていた。
「男たちは成功したかしら。もうそろそろ、帰ってもいいころだけれど」
「アルスターでもより抜きの戦士たちが向かったのだから――見て!帰ってきたわ!クーフーリンの戦車に花嫁がのっている!」
 地響きと戦車のガラガラという響きに、女たちは顔をあげた。花嫁をのせたクーフーリンの戦車を先頭に、各戦車には金銀の杯や宝石をちりばめた腕輪などが山積みにされている。男たちは意気揚々とした表情で、女たちの待つ広場に戦車でのりこみ、女たちは男たちとエウェル姫を迎えいれようといっせいに戦車をとりかこんだ。その後ろで、ナマエはうつろな表情でクーフーリンとその花嫁をみつめていた。
――私は、女としてクーフーリンの隣に立つことはない。
 目の前のさわぎが遠くに聞こえ、ともに過ごした楽しい日々が胸をよぎった。クーフーリンはエウェル姫を選んだ。ナマエではない。いずれ、自分もどこかの男に嫁いで、今晩のように男たちの帰りを待つのだ。


 宴に出る気になれずナマエは厩舎へでかけた。館々のにぎわいが遠くなる。丘をのぼりながら、溢れでてくるものを拭った。
 ナマエがやってくるとマハはすぐ馬房から顔を出した。
「…マハ…」
 差し出した手にマハは顔をよせる。構ってほしいという合図だ。クーフーリンが留守にしているあいだ、ナマエは刺繍や機織りの作業に没頭した。かれがいなくなった寂しさと、女としての器量を身につければと淡い期待を抱いたからだ。そのあいだじゅう、作業に没頭するためにマハから遠ざかっていた。
――なんて愚かで身勝手だろう。マハに寂しい思いをさせて、今はこうやって慰めをもとめてやって来る。大きくて優しい目に自分が映っていた。きっと彼女は、「またしばらくしたら私が来なくなる」と思っているのだろう……。
 触れた馬の首は暖かく、草と日なたの匂いがした。ずっと昔から嗅いできた匂いに心が落ち着いていく。レイリは心をさだめてから言った。
「……マハ、ごめんね。これからはずっと一緒にいるからね」


 朝靄がたちのぼり、野草に露がおりていた。太陽はまだ山の影にあって、空気はひんやりとしている。早朝の餌やりにきたロイグは、厩舎にやってきた妹の変化にすぐ気づいた。
「おまえ、いつもの服はどうしたんだ。髪は切ったのか?」
「ええ、ロイグ。…今日から私も戦士として手伝わせてもらうわ」
 ナマエは慣れた手つきでまぐさを桶に入れた。すっぱりと切った赤毛が、肩のあたりで揺れていた。




灰色の馬

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