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色鮮やかに朽ちてゆく

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ぱたぱたと乾いた音が地面を叩く。
吐き出す吐息に混じる鮮血があまりに濃く鮮やかで、紙のように白い肌に滲む赤は美しく、私はその色の生々しさに慄いた。
「半兵衛…さん」
伏せた目元を縁取る睫毛は長く白い。合間から見える瞳は竜胆のような紫。まっしろで光が当たった場所から溶けだすようにきらきらと白銀に輝く透明な髪は、神聖な程美しくて。
「嫌です」
言葉は口をついてこぼれた。震えた唇から出た言葉にしてはやけにハッキリとした声だった。
「しなないで」
こぼれ落ちる命。どうして、どうして止められないの。ただ生きて欲しいだけなのに、少しでも永らえていて欲しいだけなのに、この人はそれを毛筋程も望まないのだ。 私では止められない。私ではこの人の生きる理由になれない。繋ぎ止められない。
「僕ののぞみは、ただひとつだ」
熱に浮かされた瞳で喘ぐように、半兵衛は答えた。この人の望むもの。それは嫌と言うほど知っていた。わかった上でそばにいた。なのにどうして、こんなに惜しい。
「それは君も知っているだろう」
この人が惜しまないからだ。自分の命を少しも惜しまず、余すところなく全て捧げてしまうから。だから私は往生際悪く縋って抗って留めたくなってしまうのだ。


(半兵衛/BSR/色鮮やかに朽ちてゆく)

半兵衛さん夢が書きたくてたまらないけど100%悲恋にしかならない…

 

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