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ポテトもぐもぐ

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店内にはファーストフード店特有の油の匂いがぬるく漂い、周囲の統一感の無い話し声は耳についてうるさい。
「そんで、言ったんスよ。いくら何でも無理だって。そしたら真田副部長、何て言ったと思います?」
赤也が余所見をしている隙に赤也のトレーに広げられたポテトに手を伸ばす。先ほどから容赦なくひょいひょいつまんでいるのだが、一行に気付く気配を見せない。そんなんで良いのかテニス部。
「どーせいつものたるんどる!とかだろ?」
ふと視線をずらすと、赤也越しにこちらを見る仁王と目があった。驚いてぱちりと瞬くと、仁王は頬杖をついたままニヤニヤと笑った。やめてくれ、ばれたらどうするんだ。こっち見んな。
「そうなんですよ!何でもかんでも喝を入れればいいってもんじゃあないでしょうに!」
ブンちゃんはこちらを見ていないが、どうやら私が赤也のポテトをつまみ食いしていることには気がついているようで、ますます赤也の危機感の無さというか暢気さに呆れる。そしてブンちゃんの食べる量にも呆れる。こんなに食べてるくせに、帰ってからまた夕飯食べるんだってさ。本当意味がわからない。
「で…って、あー!!先輩!何食ってるんスか!!」
赤也は大きな声を上げると、私を指さした。ようやく気付いたか。遅すぎる。既にポテトの半分は私の胃袋の中だ。ふはは、馬鹿め。まあそこがかわいいんだけどね。あと、人を指さしちゃいけません。
「赤也、これおいしいよ」
「知ってます!俺だって食ってますから!っていうかこれ、俺のっスから!!」
赤也の後ろでは仁王とブンちゃんが腹を抱えて笑っている。うるさい奴らめ。
「あーごめん、ごちそうさま?」
「違います。いや、違いませんけど、違います!」
「どっちだよ」
すかさず入るブンちゃんの的確なツッコミに、仁王の肩が揺れる。
「赤也、気付かんお前が悪い」
「なっ!仁王先輩気付いてたんなら教えてくださいよ!」
「気付いて無いのはお前だけだろ」
「丸井先輩まで!」
ジーザス!とばかりに頭を抱え叫ぶ赤也の声があまりにうるさいものだから、ブンちゃんが容赦無く脛を蹴った。再び上がる悲鳴に仁王が笑う。ブンちゃんも笑う。誰も見ていないので、私はまあいいかと手を伸ばしポテトをぱくり。うん、塩加減が絶妙だ。

(テニス/立海/ポテトもぐもぐ)



 

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