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眠りの淵へ ゆるやかに

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頭に触れる手の感覚を感じて 目が覚めた。
「起こしてしまいましたか」
「…レギュラス…?」
寝ぼけ眼でぼんやりと名前を呼ぶと律儀にも「はい、そうですよ」と落ち着いた声が答えた。周囲はまだ薄暗く 人の居ない談話室は静まり返っていた。課題をやっているうちにどうやらそのまま眠ってしまったらしい。肩にはレギュラスのものと思われるローブがかけられていて、まだほんのりとあたたかい。視線をレギュラスに移すとやはり彼はローブを着ていなかった。
「そんな薄着じゃ風邪ひいちゃうよ」
「貴女がそれを言うんですか…。こんな所で寝たりして、それこそ風邪をひきますよ」
「大丈夫だよ」
「何を根拠に」
「…なんとなく?」
そう言って首を傾げると、レギュラスはハァァ…と大袈裟にため息を吐いた。
「本当は、眠っている貴女を起こさずに部屋まで運んであげたかったんですが…何分僕は女子寮には入れないもので」
起こしてしまってすみません、と謝るレギュラスに慌てて声を上げた。
「そんな!寝ちゃったのは私が悪いんだし、レギュラスは謝る必要なんか無いのに!」
「ですが…」
「それに、レギュラスは起こさないようにローブを掛けてくれたでしょう?レギュラスだって寒いのに。それだけですごく嬉しい。ありがとう、レギュ」
そう笑いかけるとレギュラスは少しはにかみながら微笑んで、優しい手付きで私の頭を撫でた。何度も何度も。ゆるやかに撫でる手のひらはあたたかく、やわらかな灰色の瞳を細めて笑う その表情が私はとても好きだった。

(レギュラス/眠りの淵へ ゆるやかに)


 

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