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きれいないきもの

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はじめてリドルを見た時、なんて綺麗ないきものだろうと思った。
しっとりと濡れるように艶やかな黒髪。闇色にけぶる長い睫毛が目元に影を落とし、合間から除く双眸は底が見えない。青白く生気の無い肌すらもその美しさを引き立てて、寒さで僅かに紅潮した頬が目を惹く。薄暗い灰色の空の下、モノクロの世界にただ、彼だけが色付いていた。
「綺麗だね」
容姿を褒めるとリドルは決まってその整って美しい顔を顰める。
いつもの秀麗さは鳴りを潜め、代わりに押し込めていた醜悪さが剥き出しになる、その瞬間が私はたまらなく好きだった。

(リドル/きれいないきもの)

 

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