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眠りの淵へ誘う声

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「風邪をひくよ」
シャワーを浴びたまま髪も乾かさずにベッドに腰掛けぼんやりしている貴方を見兼ねたようにリドルは言った。
「ねぇ、何を考えているの?」
尚も口を開かぬ貴方の隣に自らも腰掛けて、湿った髪をくるくると指先で弄んで笑う。何が愉しいのだろうか。
「聞かなくてもわかっているのでしょう?」
そう尋ねても緩く微笑むだけで答えない。この男のそういうところがずるいと思う。
「でも そういう僕が好きなんだろう?」
見透かすように言葉を紡ぐ。意地悪で、身勝手で、傲慢で、でもその一つでも欠けたらきっとそれはリドルではない。綺麗な顔と相反する歪な内面。そのアンバランスさがたまらなく魅力的なのだ。
「秘密」
そう短く告げてベッドに潜る。ククッ と喉を鳴らして笑うリドルを遮るように少し投げ遣りに 灯りを消して と頼む。やや間を置いて暗闇に包まれた部屋の中で 落ち着いた甘やかな声が響いた。
「おやすみ。良い夢を」

(リドル/眠りの淵へ誘う声)

 

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