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▼敵わない

｢リドルは綺麗だね｣
ぽつりとつぶやいた声は貴方が思っていた以上に刺を持って恨みがましく響いた｡ああ こんなことを言いたいわけじゃないのに｡気持ちとは裏腹な態度ばかりとる自分が情けなくて怨めしい｡暫し続いた沈黙を破るように唐突に はい､という声と共に頭上から降ってきたのは可愛らしい色合いの包み｡｢開けてみて｣促す言葉に戸惑いながらも開くとそこには先程目に留まった腕時計があった｡どうして。
｢欲しかったんだろう?｣
余裕に満ちた笑み｡この男はきっと全てお見通しなのだ｡それが何だか悔しくて､でもたまらなく嬉しくて､小さな声でありがとうと言うのが今の貴方には精一杯だった｡

（リドル/敵わない）


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