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飴と鞭の使い方

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「そこ、間違っているよ」
背後からぴしゃりと鋭い指摘がとぶのはこれで何回目だろうか。時計はとっくに真夜中を過ぎていて、窓の外はしんと静まりかえっている。ちら とベッドに視線を向けると賺さず駄目だよ と釘を刺されて貴女はむくれた。
「眠いの」
「そう。ならば余計に早く終わらせてしまわないとね」
「効率が悪いよ。明日にしよう」
「昨日も君はそう言っていたね。はい、次は英語だよ」
キッと睨み付けてもリドルは一向に折れる気配を見せない。鬼畜だ。いや、確かに後回しにした自分が悪いのだけれど。優しさが欲しい…泣きそうな気持ちで机に向き直って溜め息を飲み込みペンを握る。
「そうだな…ちゃんと範囲を終わらせることが出来たらご褒美をあげる」
甘やかな声が歌うようにそう告げる。
「ご褒美?」
珍しい。何をくれるのだろう。一瞬にしてパッと顔を輝かせた貴方を 目の前に餌を差し出された小犬みたいだと思いながら、リドルは人差し指を貴方の口元に当てて緩やかに微笑んだ。
「それは内緒。楽しみは後に取って置くものだよ」
するり と輪郭をなぞり笑みを深めるリドルは綺麗で、危険だからこそ美しかった。

(リドル/飴と鞭の使い方)

 

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