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優しい甘さ

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「手が止まっているよ」
背後から響く穏やかに嗜める声に振り返ると、ソファに腰掛け緩やかに微笑する美貌の青年がこちらを見ていた。
「明日テストなんだろう?ほら、手を動かして」
「嫌」
「後で困るのは自分だよ」
「…疲れたの」
頑なに言う事を聞かず ぷい とそっぽを向く貴女を見て、リドルはやれやれとばかりにため息を吐いて立ち上がる。見捨てられたのだろうか そんな不安が過り追って立ち上がろうとした貴女の動きを遮るように、ふわふわとティーカップが貴女の元へと漂ってきた。
「飲んだらちゃんと勉強するんだよ」
カップの中でとろりとミルクティーが揺れる。口にしたそれは思いの外甘く、じわりと冷えた身体に優しく染み入る。見た目以上に甘いのが一見薄情に見える目の前の男のようだと思った。

(リドル/優しい甘さ)


 

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