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02 君と僕の絶対領域


君の青い瞳がキラキラ輝いているのをずっと見ていたいから。

「―…それでね、先生のイチゴ牛乳のんじゃったらものすごい怒られたアル、ありえなくネ?大人げなくネ?」

また、だ。 先生が、と嬉しそうに話す彼女に胸がキリリと痛む。

「ふーん、そりゃてめえが悪いんだろ、自業自得でさぁ」
「マジかよ!お前なら分かってくれると思ったのに」
「なんで俺がお前を分かってやらなきゃいけねーんでィ。ほらさっさとお前の分のプリント終わらせやがれ」

お前だって俺の事分かってないくせに。

「なんだと?お前もう終わったのかヨ!」
「てめえとは違うんだよ」

殆どの生徒は部活に行ってしまっているか、下校してしまっているこの時間。オレンジ色の夕日が差し込む3Zの教室には彼らしか居ない。いまどき何処に売っているのだろうというような分厚い瓶底メガネをかけ明るいオレンジ色の髪を二つのお団子にまとめた彼女と、色素の薄い栗色の髪をした彼。後ろの席で机をくっつけて、せっせと補習用のプリントを埋める彼女を彼は頬杖をつき眠たそうに見つめていた。

遡ること5限目の事。

「はーい、じゃぁこの間の小テスト返すぞー、名前呼ばれたら取りにこいー」

この3zの担任兼現国の教師は銀髪天然パーマ頭をぐしゃぐしゃと掻きながら、だるそうに名前を呼びテストを返し始めた。

「あ、そうそう、今回のテストで30点取れてない奴は放課後先生の準備室まできなさーい。すっぽかしたらダメだかんなー、はい次神楽ァー」
「はいはいはーい、今回は私自信あるヨ」

ガタガタと席から立ち上がるとスキップを踏みながら教壇の方へ向かう。

「…ほい。喜んでるところ悪いけど放課後準備室な」

パサリと渡されるテスト用紙には大きく「19」という文字が書かれていた。

「マジでかァァァ!採点ミスじゃないアルか?」
「先生はそんなミスはしませんッ!どう見たってこれ空欄の方がおおいだろ、これで30点以上取れるわけないだろ、現実見なさい、神楽ちゃん、その瓶底メガネは伊達ですかー?」
「ちッ、天パが」
「はい、そういう人を傷つける発言はいけませーん、先生だって好きで天パじゃないんですー好きで死んだ目をしてるわけじゃないんですー。はい次沖田ー」

神楽が席に戻る途中、次に名前を呼ばれた沖田とすれ違う。席が隣の彼は神楽の天敵ともいえる相手で、毎日毎日殴り合いの喧嘩を繰り広げているのだ。 中国からの留学生神楽と風紀委員で成績優秀なの沖田総悟。 今でこそ慣れてしまった事ではあるが、初めのころは異色の二人の取っ組み合いにはクラス全員がハラハラしたものだ。なんでここまで二人の仲が悪いのか、誰も知らない。しかし、仲が悪いと思えば二人で屋上でさぼったり、帰り一緒に下校しているところも目撃されていて、実は付き合っているのではないか、という噂まであるのだ。

「…ほい、沖田」
「…ういっス」

銀八は神妙な顔つきにで沖田に答案用紙を手渡すと、沖田はそれを何もなかったような顔で受け取った。

「沖田君、どういうことこれ」
「どういうこともなにも、こういうことで。じゃぁ放課後行くんでよろしくお願いしまさァ」

沖田が席に着くと、隣では神楽が机に突っ伏してうなだれていた。相当テストに自信があったのか、無かったのか、彼女が沖田を横目に見ると恨めしそうにいう。

「オマエまたどうせ馬鹿にするんだろ、そうなんだろ。受けて立つネ、かかってこいよコノヤロー」
「勝手に話進めてるんじゃねーや」
「ふん、怖気づいたか。私の勝ちアルな」




授業が終わり、帰りのHRも終わり、神楽は国語準備室の前に来ていた。ドアをノックしようと扉に手をかけた時、背後から人の気配を感じ、振り向いた先にいたのは。

「何ぼーっとしてるんでィ。後が詰まってるからさっさと進め」
「っ!沖田!お前なんでこんなところにいるアルか!」
「いいからさっさと入れ、クソチャイナ」
「あんだと?!やんのか、コラァ!!」
「はいはいー君たち煩いから、こんなとこで騒いだらだめだよー」

ガチャと扉が開き、ほわっと白い煙と共に煙草をくわえた担任の銀八が出てきた。

「銀ちゃん!だって、コイツが!!」
「はいはい神楽ー、学校では先生と呼びなさい、先生がどうなってもいいんですか、コノヤロー」

銀八は勘弁してくれ、というような表情で神楽と沖田を部屋の中に押し込んだ。

「大丈夫アル、コイツは見かけによらず口が硬いネ」
「先生、早く本題に入ってくだせえよ。さっさと帰りたいんでさァ」
「何言ってるの沖田君。わざとの癖によく言うよなー先生困っちゃうなー」
「は?わざと?って何がアルか」

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