11. [しおりを挟む] 彼はルカというらしい。彼がなぜ私に協力してくれるのかはわからなかったが、あの睡眠薬は彼の発明品だということを知った。自分の薬が効かなかった罪悪感から私に協力してくれているのだろうか。 彼がこれからのことを話そうとした、その時。鉄扉が開かれた。隙間から漏れる僅かな光を確認する前に毛布を引っ張ってベッドに沈む。 「リアナ」 彼女の名前はリアナというらしい。咄嗟に寝たふりをする私と、演技をするルカ。リアナちゃんはルカの呼び掛けに返事をすることなく、私のそばにやって来た。 「……起きているのね」 上からため息が聞こえた。これ以上は無意味だと、観念して瞼を上げる。彼女の視線は、私でなくルカに向けられていた。 「兄さんがずっとこの中にいるなんておかしいと思ったの」 「あちゃー、俺のミスか。ごめんな、エマ」 頭を掻きながら、ルカは教えたばかりの名前を申し訳なさそうに呼んでいた。 |