過去原稿 | ナノ


12.  



 ルカがリアナちゃんに事情を説明する傍らで、私はびくびくと震えていた。説明を聞き終えたリアナちゃんの様子を伺う。殺されてしまうのだろうか。嘘をついたことを、彼女は怒っているだろうか。
「エマ」
 彼女は困ったような顔をしながら私を見つめていた。心なしか彼女の雰囲気が柔らくなったように思う。兄さんと呼ぶほどに親しいルカがそばにいるからだろうか。彼女の肩から力が抜けているような気がした。
「兄さんには、ルカには、もう一度薬を作ってもらう。上にはその猶予期間をもらえるように頼んでみる。だから、あなたはしばらくこの部屋に閉じ込めることになると思う」
 そうして、この言葉をきっかけに、私が長い眠りにつくまでの猶予期間が延長されることとなる。

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