五月の末、梅雨入り直後のせいか気温がやたら低く、練習で汗を掻いてもその汗はすぐ引き体が冷えてしまう。まだ屋内の練習だから良かったものの、腹まで冷えて南沢は腹痛を覚えた。
(くそ…これならジャージでやっときゃ良かったぜ…)
と腹を擦りながら後悔していれば、ぱさりと肩に何か掛けられる。顔を上げれば、神童が心配そうにオレの顔を覗き込んできた。
「南沢さん、具合が悪いなら休んで下さい」
「へ…あ、いやそんな大した事じゃ…」
「とか言ってさっきからずっと顔色悪いっスよー?」
後ろから倉間の声が聞こえて腹に腕を回すように抱きつかれる。またいつものに撫で回すのかと思えば、倉間の手は労るように南沢の腹を撫でた。
「腹、痛いんでしょ」
「…ま、まぁ…」
「南沢!どうかしたのか!」
すると、南沢に声を掛ける二人に気付きセカンドチームへの指導を行っていた三国が駆け寄ってきた。すると、他の三年や南沢を慕う部員が続々と集まってくる。南沢は、何でこんな騒ぎになってるんだと思いながらも事態の収拾をどう付けるべきか頭を悩ませた。
「南沢、下がれ。他の者は練習を再開するように」
そんな所に、鶴の一声とでも言おうか、久遠から休むよう声を掛けられる。皆散り散りになりながらも南沢に声を掛けたり肩を軽く叩いて心配する様子は抜けないようだ。とりあえず、騒ぎが収まって良かったと安堵しながらベンチに向かう。すると、久遠から何か差し出される。
「え…監督、これ…」
「ほっとレモンだ、それを飲んで少しは温まれ」
温かい飲み物を手に握らされて、久遠の横顔を思わずまじまじと見てしまう南沢。この人にもこんな優しさが有ったのかと感動しつつ蓋を開けてほっとレモンを口に運ぶ。じんわりと伝わる温かさも優しかった。
「ところで南沢」
「はい?」
「生理痛の薬なら音無先生に」
「やっぱオレアンタの事嫌いだわ」
***
私がお腹痛かったので南沢さんに優しくしてあげた(意味不)
南沢さんはきっとアイドルだからね、皆ここぞとばかりにぺたぺたするよね^^
あ、監督の最後のアレは軽いジョークですよ?←