「あ!今、承太郎ったら学校であたしのこと考えてる!今…息子と心が通じ合った感覚があったわ」
「考えてねーよ」
「きゃああああああ!」

「じょ…承太郎!が…学校はどうしたの…?そ…それに、その人は!血…血がしたたっているわ。ま…まさかあ…あなたがやったの………?」
「てめーには関係のないことだ。おれはじじいを探している……。広い屋敷は探すのは苦労するぜ。茶室か?」
「え、ええ、アヴドゥルさんといると思うわ」

「おい」
「はい」
「今朝はあまり顔色がよくねーぜ。元気か?」
「………。イエ〜〜〜イ!ファイン!サンキュー!」
「フン」



「だめだなこりゃ。手おくれじゃ。こいつはもう助からん。あと数日のうちに死ぬ」
「そんな!」
「承太郎…おまえのせいではない…。見ろ…この男がなぜ、DIOに忠誠心を誓い、おまえを殺しに来たのか…?理由が…ここにあるッ!」

「……?何か、ある……」
「なんだ?この動いているクモのようは形をした肉片は?」
「それはDIOの細胞からなる『肉の芽』。その少年の脳にまで達している。このちっぽけな『肉の芽』は、少年の精神に影響を与えるよう脳にうみこまれている!」
「つまり、この肉の芽はある気持ちをよび起こすコントローラーなのじゃ!!カリスマ!ヒトラーに従う兵隊のような気持ち!邪教の教祖にあこがれる信者のやうな気持ち!この少年はDIOにあこがれ、忠誠を誓ったのじゃ!!」

「DIOはカリスマ(人をひきつける強烈な個性)によって支配して、この花京院という少年に我々を殺害するよう命令したのだ」
「手術で摘出しろ」
「この肉の芽は死なない。脳はデリケートだ。とり出すときこいつが動いたら、キズをつけてしまう」
「JOJO…こんなことがあった。4か月ほど前…わたしはエジプトの…カイロで、DIOに出会ったのだ」

「わたしの職業は占い師。ハンハリーリという市場で店を出している。その晩は満月だった。ヤツは、わたしの店の2階への階段に静かに立っていた。心の中心にしのびこんでくるような凍りつく眼差し。黄金色の頭髪。すきとおるような白いハダ。男とは思えないような怪しい色気。すでにジョースターさんと知り合いだったので、話をきいていたわたしはすぐにわかった。こいつが大西洋から蘇ったDIOだと!」

《『君は…普通の人間にはない特別な能力ゆ持っているそうだね?ひとつ………それをわたしに見せてくれるとうれしいのだが』》

「ヤツを本当に恐ろしいと思ったのはその時だった。ヤツが話しかけてくる言葉はなんと心が……やすらぐんだ。…危険な甘さがあるんだ。だからこそ、恐ろしい!!わたしは必死に逃げた。闘おうなどと考えはしなかった。まったく幸運だった。話をきいていて、DIOだと気づいたから一瞬早く窓から飛び出せたし、わたしは迷路のようなスークに詳しかったからDIOの追走から逃れられた。…でなければ、わたしもこの少年のように『肉の芽』で仲間に引き込まれていただろう。『スタンド』をやつのために使わされていただろう」
「そしてこの少年のように数年で脳を食いつくされ、死んでいただろうな」
「死んでいた?ちょいと待ちな、この花京院はまだ、死んじゃあいねーぜ!!おれのスタンドでひっこぬいてやるッ!」
「承太郎ッ!」
「承太郎、今の話きいてなかったの!?手術でも取れないのに、ひっこぬくだなんて危険すぎる!」
「じじい!杏奈!おれにさわるなよ。こいつほ脳にキズをつけずひっこぬくからな…。おれのスタンドは一瞬のうちに弾丸をつかむほど正確な動きをする」
「やめろッ!その肉の芽は生きているのだ!!なぜやつの肉の芽の一部が額の外へ出ているのかわからんのか!すぐれた外科医でも摘出できないわけがそこにある!」
「肉の芽が触手を出し刺した!まずい、手を放せJOJO」
「摘出しようとする者の脳に侵入しようとするのしゃ!!」
「ぬうう」



「き…さ…ま」
「動くなよ花京院。しくじればテメーの脳はおだぶつだ」
「じょ、承太郎!お願いだから手を離して!手から入ったら触手が…ッ!」
「いかん!手を放せJOJO!顔まではい上がって来たぞッ!」
「待つんじゃふたりとも。わしの孫はなんて孫だ…。肉体に侵入されているというのに、冷静そのもの……。ふるえひとつおこしておらんッ、スタンドも!機械以上に正確に、力強く動いていくッ」

「ぬ、抜けた!」
「やったッ!」
「うおおお!!」

「波紋疾走!!」



「な…なぜ、おまえは自分の命の危険を冒してまでわたしを助けた…?」
「さあな…。そこんとこだが、おれにもようわからん」



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