昨日の出来事から一転。

杏奈は学校へ向かうため、家を出た。



「杏奈ーっ、おっはよー!」

「おはよー!」



途中友達と合流し、学校へ通学路を歩きながら楽しい時間を過ごす。

『スタンド』が見えることを除けば、杏奈は本当にただの普通の一般人なのだ。

昨日の話あとジョセフから言われたのは、今後何かしらの形でスタンド能力が目覚める可能性があるということだった。



「きゃあJOJOォーー!!」

「JOJOが石段から落ちたわ!」

「あっ、でも動いてるわよッ!」

「木の枝がクッションになって助かったんだわッ!」



途中聞こえて来た女生徒たちの叫び声。

『JOJOが石段から落ちた』

それを聞いてぎょっとする杏奈だったが、丁度近くにあった木に捕まり難を逃れたらしいことを知り、ほっとする。

友人と共に急いで現場に向かうと、石段の下の方に承太郎がいるのが見えた。



「大丈夫!?承太郎!」

「ああ」

「……足、石段から落ちる時?それとも木の枝で切ったの?血が出てるわ」

「違う。落ちる前に切れていた」

「ええ?」



よくわからないことを言う承太郎に首をかしげる杏奈だったが、その時、承太郎に向かってハンカチを差し出した青年がいた。



「君…。左足を切ったようだが……。このハンカチで応急手当をするといい…。大丈夫かい?」

「………。ああ…かすり傷だ」



そのハンカチを受け取った承太郎。

優しそうな青年だったが、その表情には何か裏があるような、そんな気がした。



「待て」



それを承太郎も感じ取ったのか、そのまま去ろうと青年を呼び止める。



「ありがとうよ。見ない顔だが……うちの学校か?」

「花京院典明。昨日転校したばかりです。よろしく」



青年の名前は花京院典明。

昨日まで牢にいた承太郎や、杏奈が知らないのはこれで納得。

花京院は承太郎に名を述べると、そのまま身を翻し学校へと向かってしまった。





学校の保健室。

ケガの治療のため、承太郎は学校に着いたとたん杏奈に教室に行く前に保健室に行けと連れられ、そこにいた。

先客の不良が二人、それぞれベットを占領し授業をサボろうと仮病を使いそこに居座っているが。



「JOJO!まさかまたケンカしたんじゃないでしょうね!帽子とりなさい帽子を。態度悪いわよ」

「先生〜〜ケンカしてJOJOがケガしたことあるゥ?ンなわけないっつーの」

「そうそう。ヒヒ」

「ほほほほ、それもそうね。じゃあころんだっての信じるわ…アワテンボさん」



保健医はハサミを手に、承太郎に近づく。



「おい待ちな。なにをする気だ……?」

「ズボンを切るのよ。手当できないわ」

「じょうだんじゃねーぜ。ぬぐよ、もったいねー」

「ホホホホ、意外とセコイやつね」

「おい杏奈。破れたところを」

「え?なあに承太郎、どうかした?」



破れたズボンを縫ってくれ。

承太郎はそう言うつもりだった。

しかしそれは途中、落ちたハンカチに書かれていた文字によって中断された。



「なんだっ?これは!?」



空条承太郎

本日中にきさまを殺す
わたしの幽波紋(スタンド)で!

花京院典明



「か…花京院ッ!?」

「花京院って…朝会ったあの転校生?」



片手に手芸用の針と糸を持って同じくハンカチを覗き込む杏奈。

どうやら承太郎に言われるも前からズボンは縫うつもりだったらしい。



殺害予告。

そう取れる文章。


そして、



「せ…先生な…なにをしているんです…!!」

「ひいいいィ」

「「!!?」」



不良生徒二人の焦った声が保健室に響く。



「なにを?って……、体温計を、ふって、目盛りを戻してるんじゃ、ないのッ!」

「ひいい…た…体温計って、せ…先生!」

「そ…それは万年筆です」

「万年筆ですって!?これが!万年筆にみえるの?」



異質な光景とも言えるそれ。

万年筆を振り、インクを撒き散らしながら、保健医は泡のようなものを吐きながら不良たちに迫る。



「承太郎…先生のあの顔、あれ尋常じゃあないわよ!!一体どうしたっていうの…!?」

「ああ…」



あまりの保健医の変わりように、一歩、また一歩と後ろに下がる杏奈。

そんな杏奈を庇うように、承太郎は一方前へと出る。



「なんて!頭の悪い子たちでしょうッ!ガボッ。あなたたちには、この体温計が万年筆に見えるの?ガボガボ。それじゃあよくッ!見てッ…、見なさいッ!!」

「ウギャアァアァアァ!!!」

「JOJOォ……あなたはまさか万年筆に見えるなんて…言わないわよねーーーーーッ」

「承太郎!」



「なんだ!この腕力ッ、女の力じゃあねえ!」

「まさか……これはスタンド?」

「そのとおり…」

「て…てめーは!」

「花京院!」

「その女医にはわたしの「幽波紋」がとりついて操っている……。わたしのスタンドを攻撃することはその女医をキズつけることだぞJOJO」

「き…きさまッ、な…何者だ!?」

「私の幽波紋の名は「法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)」。おまえのところにいるアブドゥルと同じタイプのスタンドよ…。わたしは人間だがあのお方に忠誠を誓った。だから!きさまを殺す!!」

「承太郎ォーーーッ!!」

「来るな!…来るんじゃあねえぜ……」



「この先生をキズつけはしねーさ!こうやって引きずり出してみればみるほどとりつくしか芸のなさそうなゲスな幽波紋だぜ花京院!」



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