「ほんと、あたしったらどうしちゃったのかしら。急に熱が出て気を失うなんて…。でも解熱剤でだいぶ落ち着いたわ」
「びっくりしたぞホリィ。どら、起きたら歯をみがかなくてはな。顔もふいて、髪もバサバサじゃぞ。つめも手入れして」
「パパ、下着もはきかえさせてーーッ」
「オホッ」
「キャハハハ!じょうだん!じょうだんだってば!フフフ。さあてと、承太郎今晩何食べる?杏奈ちゃんも食べて行くわよね?」
「動くなッ!静かに寝てろッ!!」
「承太郎」

「ね……熱が下がるまで何もするなってことだ……。家のことは杏奈がやってくれる。だまって早くなおしゃあいいんだ」
「フフフ、そうね。病気になるとみんなスゴくやさしいんだもん。たまにはカゼもいいかもね。ごめんね杏奈ちゃん」
「いいえ、全然大丈夫ですよ。気にしないでくださいホリィさん。今は体を休めるのが先決です。承太郎の言うとおり、わたしに任せてください」
「ありがとう」

「ホ…ホリィ!ううッ!ま…また気を失ったぞ!!き…気丈に明るくふるまっているが、なんという高熱……。今の態度でわかった。何も語らないが、娘は自分の背中の『スタンド』のことに気づいている…。逆にわしらに自分の『スタンド』のことを隠そうとしていた…。わしらに心配をかけまいとしていた!娘はそういう子だ」
「…………」
「かならず…助けてやる…。安心するんだ。心配することは何もない…。かならず元気にしてやる…。安心していればいいんだよ」





「荷物はこれで全部か?」
「うん。着替えと、必要なものだけ詰めたから、これで全部。それに飛行機だから、エジプトまではすぐだしね。それほど荷物を持っていく必要もないでしょ?」
「貸せ。持つ」
「ありがとう」

「承太郎」
「あ?」
「絶対に、DIOを倒してホリィさんを救おうね。絶対に死なせない。あんな優しい人を、DIOなんかに殺させはしない」
「………」
「母さんが亡くなってから、ホリィさんがずっと私のこと、めんどう見てくれて、とっても感謝してるの。ホリィさんはわたしの、ふたり目のお母さんみたいな存在だから」
「そうだな……」










「か…かぶと…、いや…クワガタ虫だ!」
「クワガタ!?ちょっ待ってよ、わたし虫は絶対ダメだから!ムリ!」
「うう…座席のかげにかくれたぞ…」
「機内に虫だと?普通じゃあないな!」
「アヴドゥル、スタンドか!早くも新手のDIOのスタンド使いかッ!」
「ありうる…。虫の形をした『スタンド』……。ど…どこだ」
「JOJO!君の頭の横にいるぞ!」

「ひっ!」
「気持ちわりいな。だが、ここはおれにまかせろ」
「き…気をつけろ…スタンドだとしたら、『人の舌を好んで食いちぎる虫のスタンド』使いがいるという話をきいたことがある」
「舌を食いちぎる!?」
「『星の白金(スタープラチナ)』!」

「か…かわしたッ!し…信じられんッ!弾丸をつかむほど素早く正確な動きをするJOJOのスタンド『スタープラチナ』の動きより早いッ!」
「やはりスタンドだ。その虫はスタンドだ!!どこだ…どこにいる!?こいつをあやつる使い手はどこに潜んでいるッ!?こ…攻撃してくるぞ!」
「しまったッ!」




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