「今日こそはまじめに学校へ行くぜ」



そう言って玄関にいる承太郎はいつもの学ラン姿だ。



「まじめになんてよく言うわよ、喧嘩してばっかりのくせに」



一方の杏奈はと言うと、制服姿ではなくラフなパーカー姿だ。

どうやら今日、彼女は学校へは行く気はないらしい。



「そういうお前は今日はサボりか」

「仕方ないでしょう?花京院の看病だってあるし、ホリィさんを手伝わないわけにはいかないじゃない。ジョセフさんにアヴドゥルさんを放って置くわけにはいかないし……。これは立派な家庭の事情じゃない?休む理由にはなるわ」

「おれん家の、家庭の事情だろうが。まったく、やれやれだぜ」

「まあそういうことだから、今日一日は家のこと任せてよ。しっかりホリィさんのサポートするから」

「ああ」

「?どうしたの?嫌に素直じゃない。まさか熱でもあるんじゃ」

「いや……」



すると承太郎は何か考えるような素振りを見せた。



「おかしいな」

「え?」

「いつもなら、お袋が騒がしくしているはずなんだが」

「騒がしくって………。けど、たしかにおかしいわね。ホリィさん、いつも承太郎が学校行く時、見送りしてくれるんでしょう?」

「何か嫌な予感がするぜ」





「な…なんてことだ。透ける…。…ス…『スタンド』だッ!ホリィさんにも『スタンド』が発現しているッ!」

「なんてことだ…こ…この高熱……『スタンド』が『害』になっているッ!JOJOとジョースターさんにだけDIOの肉体からの影響があり…ホリィさんには異常がないというので安心しきっていた…。い…いや、安心しようとしていたのだ。ないはずはないのだ。ジョースター家の血が流れているかぎり、DIOからの影響はあるはずだったのだ」

「スタンドとはその本人の精神力の強さで操るもの。闘いの本能で行動させるもの!おっとりした平和な性格のホリィさんにはDIOの呪縛に対しての『抵抗力』がないのだ!『スタンド』を行動させる力がないのだ!!だから『スタンド』がマイナスに働いて『害』になってしまっている!非常まずい…こ…このままでは『死ぬ』!『とり殺されてしまう!』」



「……ホ、ホリィ…」
「ジョースターさん…JOJO」
「う、うそでしょ……?ホ、ホリィさんが死ぬ…?スタンドが『害』って、そんな」
「わ…わしの…、わしのも…最も恐れていたことが……おこりよった…。つ…ついに、む…娘に…『スタンド』が…。『抵抗力』がないんじゃあないかと思っておった。DIOからの魂の呪縛に、さからえる力がないんじゃあないかと思っておった……」
「言え!『対策を!』」
「うう…く…う、うう……。ひとつ、DIOを見つけ出すことだ!DIOを殺して、この呪縛を解くのだ!それしかない!!しかしわしの念写ではやつの居所はわからんッ!」
「やつはいつも闇にひそんでいる。いつ念写しても背景は闇ばかり!闇がどこかさえわからなければ。いろいろな機械やコンピューターで分析したが、闇までは分析できなかった」
「おい、それを早くいえ。ひょっとしたらその闇とやらがどこか…わかるかもしれねえ!」


「DIOの背後の空間になにかをみつけたな。スケッチさせてみよう。おれのスタンドは脳の針を正確に抜き、弾丸をつかむほど精密な動きと分析をする……………」
「スタンドってそんな事まで出来るの!?」
「ハエだ。空間にハエが飛んでいたのか!まてよ…このハエはッ!し…しっているぞ!!ちょっと待ってくれ、エジプト!やつはエジプトにいるッ!それもアスワン付近と限定されたぞ!!」
「『ナイル・ウエウエ・バエ』………。エジプトに生息しているハエなのね。じゃあDIOはエジプトの、このアスワンってところにいるの…!」

「やはりエジプトか……いつ出発する?わたしも同行する」
「花京院」
「わたしが脳に肉の芽をうめこまれたのは三か月前!家族とエジプトナイルを旅行しているとき、DIOに出会った。ヤツはなぜかエジプトから動きたくないらしい」
「同行するだと?なぜ?おまえが?」
「そこんところだが…。なぜ…同行したくなったのかはわたしにもよくわからないんだがね…」
「ケッ」
「……おまえのおかげで目がさめた。ただそれだけさ」
「JOJO、杏奈ちゃん、占い師のこのおれが、君たちの『スタンド』の名前をつけてやろう。運命のカード、タロットだ。絵を見ずに無造作に一枚ひいて決める。これは君たちの運命の暗示でもあり、スタンドの能力の暗示でもある」

「星のカードと女帝のカード!名付けよう!JOJOのスタンドは『星の白金(スタープラチナ)』、杏奈ちゃんのスタンドは『女帝の碧(エンプレス・ブルー)』!」



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