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バタァーンッ!!
窓を勢いよく開け放ち、空気の入れ替えと共に部屋に光を入れるリヴァイ。
各々はたきや雑巾、箒を持ち、各階の清掃を進めている。
レイラもそうだった。
しかし、
「ぶぇっし!!」
「…汚ねえな」
「ああ…すまん。身体が異様に埃に反応してな……。いつものアレだ」
「気合が足りねえんじゃねえのか」
「いや、これは気合とかそういうので治るもんじゃねえし。てか気合で治せたらとっくに治してるっての……」
レイラは現代で言うハウスダストアレルギーのような物を持っている。
舞い上がった埃がレイラに着実にダメージを与えているため、なかなか作業が進まない。
「所で、エレンの奴はちゃんと掃除をしていたのか?」
「まあまあじゃないか?お前が納得するほどの出来栄えじゃないだろうがな」
「チッ、」
「あんまりエレンの奴を虐めてやるなよ。恐怖による支配は、ロクなもんじゃない」
「わかっている」
エレンの奴を呼んでくる。
と下の階へ戻っていくリヴァイ。
そんな彼を見届けつつ、レイラは開けた窓から空を見上げ自由に空を飛ぶ鳥を見つけた。
もし生まれ変われるのなら鳥になりたい。
自由に空を飛ぶ事が出来る、翼がほしい。
巨人にも誰にも囚われず、自由気ままに空を飛び回ってみたい。
レイラは常々そう思っていた。
「あ、あの…!」
「あ?」
「……その…、えっと…」
「何か言いたいことがあるなら言ってみろ。独り言なら見逃してやるよ」
「…レイラ副兵長は、リヴァイ兵長の事をどう思っていらっしゃいますか……?」
「どうって……どうだろうな…。考えた事ない」
「そう…ですか」
「エレン」
「は、はい!」
「お前は掃除をしろ。またリヴァイに蹴りを食らわされたいのか?」
「い!いえ!!」
「……なら手を動かしながら聞け。リヴァイとはもう長い付き合いだ。差し支えない質問なら答えてやるよ…」
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