「…いいだろう。だが己と似た容姿、似た性質の者を探すのは、互いに時間がかかるだろう」
「では、どうなさるおつもりですか」
シエルは悪戯な光を双眸に灯して、くつりと哄った。
不遜で傲慢な、罪深いまでに美しい笑みだ。
「土塊から創ればいい。神にできて悪魔にできない訳がない」
「なるほど。限りなく己に似せた玩具であり、カスタマイズも思いのまま、ということですね」
「そうだ。それに…、ただ神のように座して眺めるだけでは詰まらない。感覚だけはリンクさせないか?」
セバスチャンはうっそりと陰鬱に微笑んで、わざとらしく小首を傾げて見せる。
「私に殺される感触を味わうことになっても、宜しいのですか」
「僕はゲームには負けない」
ぴしゃりと言い切るが、セバスチャンは何やら愉快げに緋紅の禍瞳を眇めた。
「私に殺されたいのですか、坊っちゃん」
「何を言ってるんだ、貴様は」
怪訝な眼差しを向けると、悪魔は値踏みの眼差しで見返してくる。
相手の瘡蓋を剥ぎ取って、無理矢理罪ごと引き摺り出す。そういう性の生き物であると、知れるような熟れた瞳だ。
「今更だな、セバスチャン。あの日あの時からずっと、僕は…、お前に茨で刺し殺されることを夢見ているんだ」
悪魔は僅かに瞳を瞠ったが、すぐにいつもの美しい無表情で
「左様でございますか」
そう、謹み深げに答えて寄越した。