ざくざく ばりばり ぼりぼり 止まらない軽快な音に、パソコンを打ちつけるオレの手が止まった。やれども更に出されるレポートにはもう食傷している。音の根源である悠一を見ると、ぼんち揚がどんどん口に吸い込まれている。ブラックホールかよ。どうでもいいけどお前の座ってるオレのベッドにぼんち揚のクズ落としたら犯す。 「おっ、やっと終わったか?」 「終わんねー。から、一旦休憩する」 大変だな、なんて他人事な悠一の声を聞きながらパソコンを閉じる。うわパソコン熱すぎ。時計を見るとレポートを書き始めてから3時間経ってた。お疲れパソコン、お疲れオレ。フラフラする足取りでベッドに向かってダイブする。狭い。悠一がくつくつと喉で笑っている。可愛すぎかよ。 「ぼんち揚食う?」 「おー」 「ん」 いつものへらっとした笑顔の悠一にいつものようにそう呼び掛けられる。オレはどちらかというとぼんち揚は好きな方だから、差し出されたぼんち揚はよっぽどの理由がない限り貰う。 すっと差し出されたそれを見やると、ぼんち揚の袋ではなくてぼんち揚を持っている悠一の指だった。受け取ろうと手を伸ばすとふいっと躱された。何ごと。 「……くれないならいらねーんだけど」 「そうじゃなくて、あーん、な?」 ずいっと口の前にぼんち揚が迫ってきた。あーんって。理解すると同時に羞恥でじわり、と頬が熱くなった気がする。揶揄われるのは得意じゃない。ちらりと悠一を見ると、オレの反応を見たがってるんだろうその目は爛々と輝いていた。うわあすげぇ楽しそう…。まあ3時間も放置してたオレに拒否権はないよなあ。……決して悠一の楽しそうな顔に負けたとかじゃない。 「……あー、」 観念して開けた口でぱくりとぼんち揚を銜えて、悠一の手を掴む。タダで起きるオレではないのだ。そのままとりあえずぼんち揚を完食し、ぼんち揚の粉が付いている悠一の細い指を舐める。 「ッ!、___っ、やめ…っ!」 「ひゃら(やだ)」 仕返しだ。そのまま指をぱくりと口の中に入れ、爪と指の間に舌を這わせたり、甘噛みしたりする。あまじょっぱい。じゅぷじゅぷとわざと音をたてながらしゃぶると、悠一は恥ずかしそうな顔でオレを見る。 「も、ほんと、勘弁してくれ…」 「っちゅ、…じゃあやめる」 べちゃべちゃの指から口を離すと、悠一は強ばらせていた身体の力を抜いた。少し赤い顔を俺から背けるようにしたせいで白い首が顕になった。うまそう。 「指は、な」 「えっ、っあ!、ゃ…っ、吸う、な…っ、んん…っ」 馬乗りになってぢゅうっと首に吸いつく。弱々しい抵抗はむしろ催促にしか思えなくて、悠一の身体に手を這わす。内腿の感触を楽しんでいると、恨めしそうに変態、と罵る声が聞こえた。はいはい変態ですよっと。やっぱりこっちのが性に合う。楽しくなってきて悠一のまだ柔らかいそれを服越しに触ると、震えながらオレの背中に爪を立てた。 「あっ!…はぁっ、 ちょっと、まっ、…んなとこ…ッ、く… だめ、だって、 ___…っ!」 苦しそうに喘ぐ悠一は、さっきまでぼんち揚を貪り食っていたやつとは思えないほど色っぽい。あーやばい、最後までしたい。つーかもうこれはしていいよな。悠一って今日玉狛に帰るっけ、ああもうどうでもいい。 「なあ悠一、オレのレポートいつ終わるかわかる?」 「え、?」 突然何言ってるんだとでも言いたそうな顔をしたその一拍後、悠一はその顔を真っ赤にした。羞恥からか唇を噛んでいるのがいじらしい。悠一のサイドエフェクトは凄い能力だ。きっと今からオレに何をされるか鮮明に視えたことだろう。確定した未来だから余計に、な。にやにやとだらしない顔のまま悠一に詰め寄る。 「なあ、いつ終わる?」 悠一は濡れた瞳でオレを見上げる。 「…終わんないよ。少なくとも今日中はな」 その瞳にキスをして、狭いベッドになだれ込んだ。 to list |