07

「賭けだ。文系は得意だから理系で平均取れればいい」
「はあ」
 仲間内で誰が50位以内になれるか賭けてるってことだろうか? そんなのに巻き込まないで欲しいが、そう言う勇気もなく俺は赤ペンを動かす。

 うん、いくら簡単だとは言え、なかなかの正答率だ。
「八割は正解してますよ」
「おーさすが俺。さんきゅー城田」
 ノートを返すと、先輩はうれしそうに笑った。大型犬って、こんな感じだろうか。
 そんなことを思いながらご機嫌な先輩を眺めていたら、突然手が伸びてきて、がしっと手首を掴まれた。

 あ? あれ?
 ななな、なんだ? 俺、また睨んでたんだろうか。

「せんぱ……い?」
 すっかり油断していた俺に、再び緊張が走る。だが目の前の人は気を害した様子もなく笑顔のままだ。
「よし、泊まってけ。飯つくってやるから」
 返ってきたのは、予想もしなかったお誘い。
「は?」
「ほら、風呂入って来い。その間に飯作っとくから」
「え、ちょ、先輩」
 展開についていけないんですけど、とは言えない雰囲気。
「着替えは俺のでいいな」
 押し付けられたのはグレーのスウェットと、下着。アンタ本気か。
 何でそんなに楽しそうなんだよ。
「はやくしろ。俺に脱がされたいなら手伝うぞ」
「……お風呂いただいてきます」
 そう答えるより他に、俺に何ができるって言うんだ。

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