08

「はぁ? カテキョで先輩んち泊まる?」
 と、電話越しに素っ頓狂な声を出したのは鈴木だ。
「うん。だから今日寮帰れないから」
「……おまえ、弱みでも握られてんのか」
「そんな弱み無くたって、一般人じゃ敵わないだろ」
「お前、悪いのは目つきだけだもんなぁ。あとは善良そのものだし」
「うるさいな。この目つきのせいで、どんだけ酷い目にあったか」
「え、暴力振るわれてるのか」
「いや? でも喧嘩売ってるように見えるみたいで。なんか、そそるって」
「そそるぅ?」
「うん。たぶん喧嘩したくなるってことだと思う」
「いや、それ……」
「鈴木?」
「うーん……微妙だな。まぁ気をつけとけ。自分の身は自分で守れ、な?」
「ん。肝に銘じとく」
「とくに後ろ、気をつけろよ」
「は?」
「前より後ろだぞ。うしろ大事にしろよ。じゃあな」

「……何が言いたかったんだ、鈴木」

prev | 目次 | next

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -