12

「しろたー。城田、朝だぞ。おきろ」
 ぺちぺちと誰かに顔を叩かれている。ああ、やめてくれ。昨日は色々あって疲れたんだ。今日くらい寝かせてくれて、いいじゃないか。
「あと10分……」
 頬にかかった手を払いのけて、ぐずぐずと布団の中にもぐりこむ。すると「しゃーねえなぁ」なんて優しい声がして、前髪の遊ぶ額を撫でられた。その手つきが優しくて、ますます起きる気が無くなる。隣にあるぬくもりが心地よくて擦り寄ると、それはわずかに身じろいでくすりと笑う気配がした。肌と肌が触れ合って、とても気持ちいい。
 この声は、誰のものだろう。そういえば、布団から知らないにおいがする。最近、柔軟剤変えたっけ?
 あれ?……てか、ここ、俺の部屋じゃ、ない?
 昨日、俺は――

「う、うぎゃぁぁぁ!」
 全ての記憶が繋がって、俺は飛び起きた。
 いつの間に移動したのか、そこはセミダブルの上で、カーテンの間から漏れる光は朝を告げている。
「おはよう城田」
 隣に寝転がるさわやかなフェロモン美丈夫は昨日のお相手、本神一。すっきりとした顔で、俺を見つめてひとこと。

「お前の体、えろくて最高」

「ひいいぃ! 言うなー!」

 俺は、道を踏み外したんだろうか。

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