09

 光也は本当に、俺を何だと思ってるんだろう。お前も男なら、好きな奴に求められたら冷静ではいられないって理解してほしい。好きだ好きだと散々理性を揺さぶられて、最後の「……ばか」はとどめだった。我ながら変態っぽいが、……腰にきた。

 あまり、俺を嬉しがらせないで欲しい。
 期待したくなる。
 甘い誘惑に抗えるほど、俺は無欲じゃない。

 かわいい。可愛い光也。俺のからだの下で、震えながら頬を染める。

「光也、好きだ」

 頬に触れれば、光也は「ばぁか」なんてまた可愛いことを言う。

「好きだよ」
 もう一度言えば、光也は俺の頭を抱き寄せて、噛み付くように唇を重ねる。そして俺を潤んだ眼で睨みつけた。
「俺のほうが好きって、言ってるだろ」

 ああ、だめだ。可愛すぎる。これ以上、どう好きになれって言うんだ。

 幸せで、だけどどこかに痛みを残して、これは夢なんじゃないかと思ってしまう。

 好きになって欲しい。同じ形の『好き』がほしい。

 おれは馬鹿だ。

 身に不相応な欲ばかりが、あふれてくる。

 こんなことさせてごめんな光也。
 ありがとう。これでもう諦めるから。

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