05
「お前の、俺に対する思いはそんなもんなのか」
声が、震える。涙で声が震えることは今までに何度もあったが、怒りで震えるのは初めてかもしれない。
「……光也?」
俺の様子に、片瀬が心配そうな眼をする。そんな眼をしておきながら、俺から離れるというこいつが、たとえその気持ちを理解できても、やっぱり許せない。
「おれは、お前を離す気はさらさら無いぞ」
俺の言葉に、片瀬はやっぱり困ったような顔をする。
「でも、お前は俺のこと好きじゃないだろ」
こいつの言葉の「好き」が全部「恋」という意味で片付けられているのが、悔しい。
俺は、お前のことが好きなんだぞ。
「お前の恋が叶わないからって、俺の好意は無視されるのか」
恋がそんなに尊いのだろうか。俺の持つ「好き」の気持ちは、それを前にしたら、かかとで踏み潰してしまえるくらい軽いんだろうか。
「お前が、恋が友情より尊くて優先されるなんて思ってんなら、俺は怒るぞ」
俺は、こいつが好きだ。一生付き合って生きたいと思うのに、こいつは恋が叶わないからって、俺を遠ざけるという。
「お前は、俺とどうなりたいんだ。言えよ。それを言わずに俺から離れるなんて、ゆるさねえ」
「みつ、や……」
片瀬の整った男らしい顔がゆがむ。
片瀬を苦しめているという自覚はある。だけど、おれにはこいつを離してやることができない。
「俺は……お前を抱きたいんだ。嫌だろ、気持ち悪いだろ」
片瀬が、苦しそうに言う。
その言葉は俺たちの関係を明らかに壊す言葉だ。片瀬は優しい奴だし、本当ならきっと一生言うつもりもなかったはずだ。
それを言わせたのは俺だ。我ながら、自分がいやになる。
片瀬の言葉は、俺に「離れよう」と頷かせるための最後の切り札だったのかもしれない。
でもな、片瀬。お前は馬鹿だ。俺を見くびるなといいたい。
お前の恋の『好き』がどんなもんかは知らないが、俺は自身をもって言える。俺の友情のほうが、絶対お前を『好き』だ。
お前は、それを思い知ればいいんだ。
声が、震える。涙で声が震えることは今までに何度もあったが、怒りで震えるのは初めてかもしれない。
「……光也?」
俺の様子に、片瀬が心配そうな眼をする。そんな眼をしておきながら、俺から離れるというこいつが、たとえその気持ちを理解できても、やっぱり許せない。
「おれは、お前を離す気はさらさら無いぞ」
俺の言葉に、片瀬はやっぱり困ったような顔をする。
「でも、お前は俺のこと好きじゃないだろ」
こいつの言葉の「好き」が全部「恋」という意味で片付けられているのが、悔しい。
俺は、お前のことが好きなんだぞ。
「お前の恋が叶わないからって、俺の好意は無視されるのか」
恋がそんなに尊いのだろうか。俺の持つ「好き」の気持ちは、それを前にしたら、かかとで踏み潰してしまえるくらい軽いんだろうか。
「お前が、恋が友情より尊くて優先されるなんて思ってんなら、俺は怒るぞ」
俺は、こいつが好きだ。一生付き合って生きたいと思うのに、こいつは恋が叶わないからって、俺を遠ざけるという。
「お前は、俺とどうなりたいんだ。言えよ。それを言わずに俺から離れるなんて、ゆるさねえ」
「みつ、や……」
片瀬の整った男らしい顔がゆがむ。
片瀬を苦しめているという自覚はある。だけど、おれにはこいつを離してやることができない。
「俺は……お前を抱きたいんだ。嫌だろ、気持ち悪いだろ」
片瀬が、苦しそうに言う。
その言葉は俺たちの関係を明らかに壊す言葉だ。片瀬は優しい奴だし、本当ならきっと一生言うつもりもなかったはずだ。
それを言わせたのは俺だ。我ながら、自分がいやになる。
片瀬の言葉は、俺に「離れよう」と頷かせるための最後の切り札だったのかもしれない。
でもな、片瀬。お前は馬鹿だ。俺を見くびるなといいたい。
お前の恋の『好き』がどんなもんかは知らないが、俺は自身をもって言える。俺の友情のほうが、絶対お前を『好き』だ。
お前は、それを思い知ればいいんだ。