あいらぶゆー(我愛羅)
「今日は月がきれいだな」
「月出てないけどね」
「夏目漱石流のあいらぶゆーだ」
「あいらぶゆーねぇ…」
縁側で我愛羅と一緒に星が瞬く高い空を寝転がりながら見上げる。先代はなぜ月がきれいですね、をあいらぶゆーに訳したのだろうか。どうしてかなぁ。我愛羅わかる?
「月は儚くも光を照らす。美しさも全て女性自身がそうあったのかもしれないな」
「そんな女性が昔は多かったのかしらね」
「愛の言葉はかつて愛した経験のある人の残骸だ。言葉は紡がれていくがその人は存在しない。だが言葉は先行して進んでいく。」
「今こうして我愛羅の言ったことに私が感動して死んだあともずーっと続いていくならなんだかほんとに一生愛を誓うなんて安っぽい言葉より何十倍も嬉しいことだね」
「……そうだな。おいで名無し」
我愛羅があぐらをかきブランケットをかぶさり私に寒いだろうと手招きをする。優しい表情、仕草、空間は紡がれることはない。これだけは私が独り占めできるもの。我愛羅に身体を預けながらまた星を見上げる。暖かさが心地よい。抱きしめられ、首に唇を押し当てられたあとにピリッと走る痛みに少しばかり声がでる。
「ひっ…」
「愛している、名無しだけを」
幸せすぎて私怖い。絶望に落ちるような言葉とは裏腹に胸の中には温かい安心感が巡るばかりだった
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ある人の呟きから妄想して書いてみました。
加筆修正するかもなぁ