処刑台の主役 | ナノ


▼ 03

あたしが生まれて1年が経った。
うまく話せなかった言葉も今ではある程度正確に話せるようになった。それに一人で歩くこともしゃがむ事もできるようになって、この年齢には少し渋いかもしれないけれど最近の趣味は散歩である。

そして知った時は本当に驚いた半面、落ち込んだのだがどうやらこの世界は漫画で有名な忍者の世界なのだ。とはいえ、あたしの場合漫画のタイトルだけ知っているといっても過言ではないのだけれど。

そして、あたしは主要キャラでもあるうちは≠フ家に生まれおちてしまったのだ。
つまり、だ。結論から言うと、「どう足掻いても絶望」でしかないのだ。いくら物語に疎いあたしでもうちは一族≠フ末路は知っている。


「…くりかえし」


ようやく手に入れたこの幸せすらも、あたしは手離さなければいけないのだろうか。


「…いやだ」


あたしはこの世界で、この幸せを絶対に手放したりはしない。この幸せを奪おうとする者が現れるならば、あたしはきっと容赦しない。

そう強く誓って今日もチャクラを練る練習を始める。
こちらの世界のノウハウはある程度理解した、結果この世界で幸せを守るにはあたし自身が強くなる他無いという結論に辿り着いた。

禁断の森と言われる此処で、父の書斎から持ち出した忍術の巻物を見ながら勉強をすることが最近の日課になってきている。初めこそチャクラって何だ、超人業じゃないのか。なんて思っていたけれどこの世界に生まれおちたためなのか、両親の素質が受け継がれたのか、チャクラを練ることは意外にもすんなりと行けた。


「‥かげぶんしんのじゅつ」


禁術≠ニ大きく書かれた術を密かに練習をし続けようやく会得することが出来た。ちなみに隠れて修行をしているため誰も知らないハズ。

いくら他の子たちより成長の早いとは言え限度というものは何事にもあるものだ。あたしの成長ぶりを喜んでいるとはいえ流石にここまで来ると気持ち悪いと思われてしまうかもしれないという恐怖に、あたしが考えだした結果は隠れて修行をする≠ニいうことのみだった。


「いたちおにいちゃん、きょうもかまってくれないのかなあ」


あたしはもうすぐお姉ちゃんになります。



120528

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