宝石とさよなら | ナノ


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ああでもないこうでもないと仲良く仕込みの仕入れをしている傀儡師二人と風影の後ろで苦笑いしながら近くにあるものを物色しては棚に戻していたナマエ。
砂で何でも作れるとはいえやはり男、武具の類は例にもれずに好きなようだと彼らの背中を観察しながら思っていれば背中を小さくたたいてテマリちゃんが呼んだ。

「ナマエ、ありがとう」
「……何の話?」
「昨晩の……」

ああ、我愛羅君のことかと頷けば濁しつつもそうだと言葉にせず首を縦に振る。おそらく店内の我愛羅君に気づかれたくはないのだ。
腕をひかれるがままに店の外へと連れ出され、ため停滞期を吐き出したテマリちゃんは弟の状態に安心したと笑う。
砂の鎧に閉じこもり、それをいまだ外すことのない我愛羅君は存外弱いのだ。
それを知っているからこそ彼女は姉として気を使ってきたが……。

「結局我愛羅が一番安心できるのはナマエだけなのが、姉として非常に悔しい」
語る彼女の口ぶりからはどんな人間がうそを言っているようにも見えないだろう。下におろしていた視線をナマエに向ける。
まあ確かに、血のつながりのない自分に弟を盗られたような気になるのは無理もなかった。
彼は他人に寄りかかろうとしない。相談が出来ない弟の心境を汲み取ってやらねばならない姉に対してナマエにはいつだってくっついて回るからだ。それこそ子供のころと同じように。
悔しいが、それでもやはりナマエに改めて頼まなくちゃならないと深呼吸としたテマリの目の前に手のひらを見せ止める。

「……テマリちゃん、私も相談されないよ」
全部勝手に決められて、それでいいか?って最終確認として聞いてくる。
だから「大して変わらないどころかテマリちゃんと一緒」だと、沈黙の後に発せられたナマエの言葉にテマリは非常に驚いていた。



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