宝石とさよなら | ナノ


▼ 525



「我愛羅様お帰りなさいませ」
当たり前のように出迎えてくれたシュデンちゃんに我愛羅君は犬に接するように頭を撫でる。
それに対し御戯れをと頬を染めたのち数歩下がることで回避すると、自室にチクマが熱を出し倒れましたと彼女の家の方角に顔を向け報せた。
「報せたいことがあるのでお疲れのところ大変申し訳ないのですが、今すぐアレの家に向かって……」
「わかったシュデン。いつも留守をありがとう」
「お礼なんて…、私は我愛羅様のために何かできるのが一番の幸福ですから」

私たちには決して見せることのない自然な笑みを我愛羅のみに……、一身に向け、シュデンは恍惚とする。
それを後ろから眺めていたサソリは面白くなさそうに腕を組み目を細めた。
「……サソリシュデンちゃんのこと嫌いなの?」
「嫌悪の目を向けてくる奴を好きになるお前の方がおかしいだろ」
「いやぁ好きでも嫌いでもないかな……、我愛羅君をいじめるわけじゃないから放置してる。あまり険悪にならないでね」
「へーへー、まあ伊達に歳食ってねぇしこっちも仕事の時はスルーしといてやるよ。お前もあのくらい盲目に慕ってくれて構わねぇんだぜ?」
「冗談はよそでやってもらえるかな?」
出迎えの見張り達に二言三言言伝をしてチクマの家の方角へ去っていく我愛羅君を見つめながらサソリが馬鹿なことをぼやいた為それに笑って返してやる。
目が笑ってないだの表情が正直すぎてやっぱりテメェは忍に向いてねぇだのけらけら笑うサソリの足を踏んでやったが作り物の身体では痛覚はなく気づいてすらいないようでナマエはクソッと小さく悪態をついた。

「ミョウジナマエ、とサソリはマタンのところに行け。今後のことを話す」
我愛羅の跡を追っていたシュデンちゃんが振り向きざまに冷たい口調でこちらに伝言を伝えてきたのでサソリがそれに「へーへー」と適当な返事をしながらひらひらと手を振り答えた。


_



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -