宝石とさよなら | ナノ


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我愛羅に背を向けて行ってしまったナルトを追いかけるべきか風影に働いた…部下の非礼の罰を受けるべきか。
カカシとヤマトはわかりやすいほどに周章狼狽していた。流石にナルトも抑えたのか拳ではなく平手だったが罪の重さはほぼ変わらない。
幸運だったのが気心知れた旧知の仲だったことだ。他の国の影や大名ならばその場で切り捨てもあり得たが彼はナルトと違い激情で行動を左右されることは少ない冷静な男だったはずだ。
この男がそんなことをしないのは百も承知である。が、両隣にいる姉と兄は我に返ると牙を向けてきていた。
ここで反撃に出ればさらに取り返しのつかないことになると、とっさに身構え受け身ができる様に体勢を整えたカカシ達に俯いた我愛羅が行ってくれと絞り出すような声量で声をかけた。
「オレは良い。あいつの気持ちを無視した考えだった。……貴方達は追いかけてやってくれ」
先ほど話したように今は八尾と九尾を守らなければならない。オレは……、きっと嫌われてしまっただろうが貴方達は違う。どうかオレの分まで守ってやって欲しい。

「……申し訳ない我愛羅君…いや、風影様。頬は……?」
「大丈夫だ、あいつも本気で殴ってないことはわかってる。この話はここで終わりにしよう」
五代目か六代目火影の出席を待っていると二人が忘れないように繰り返すと、張られたときに緩み垂れ下がったマフラーの端を後ろに回し、その中に顔をうずめた我愛羅はきた道を戻っていく。
我愛羅に制されていたテマリが一度彼らをにらむと弟の小さく見えてしまった背中を叩き隣に並んだ。

「本当にすまなかった、我愛羅君に謝っておいてくれるかい?」
「いや、お互いさまだしこの話は終わりにしておこうじゃん。こっちにはナマエがいるから。我愛羅があいつと同じ立場だったら同じことしてたと思う」
「…ナマエ……さん、元気なんですね」
「木の葉でナマエを護衛してくれてたヤマト…だったか?その節は助かった」
アンタに教わったらしい暗器召喚術が役にたちまくってヤバいっていつも言っていると苦笑交じりで頬を掻いたカンクロウに元気そうで何よりですとじんわり滲みだした感情を抑え笑みを張り付けた。



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