宝石とさよなら | ナノ


▼ 516



ばしん。大きく肉を打つ音が夜闇の雪原に響き渡った。
この場にいた当事者二人の付き添い達が信じられないものを見たと理解の追いつかない中、同じように呆ける我愛羅から視線を外し背を向けたナルト。
切り捨てることも時には必要だと暗にそういってるんだろ?と押しつぶされるような空気が我愛羅に語り掛ける。
その通りだと答える暇もなく、続けざまに「お前、そういうこと言うやつだったんだな」と黙ったままの我愛羅を映さずナルトは零した。

「何をしてでもナマエといたかったって中忍試験の時にお前言ってたから、そのために頑張るって言ってたから、きっとあの時のお前と今のオレは同じなんだろうなってずっと信じてたのに……。結局お前もオレの気持ちはわかんねぇんだろ」
「……サスケは明確に牙を向けてきた、ナマエとは違う」
「うるせーってばよ!」
「……っ…、お前があいつを追って傷ついてるのをもう見たくな……」
「大切な奴だから絶対に助けてやるんだって、オレもお前に話したのに……ッ。お前ってば……!」
どうして、理解してくれねえんだよ……、そう昂る自分の感情を我愛羅にぶつける。
同じ人柱力だったから。同じ独りぼっちだったから。自分が犠牲になってでもそいつを救いたいという思いは一緒だったから。
ずっとずっと、信じていたのに。風影になって変わり果ててしまった友を悲痛な顔で見つめ、一度光のない双眼に映し出した。
瞬きの後、スゥ…と目を細めたナルトからは感情が消え失せる。
荒れ、体内を駆け巡っていたていたチャクラも沈静化しぞっとするほどの友が自分に向けているとは考えられないほどの冷たい視線に突き刺され、硬直した我愛羅に静かに口を動かした。
はじめは音のない言葉を、次にこちらに聞こえる様に。

「……だ、顔も見たくない」
呪文のように淡々と口を動かしていたナルトが拳を白くなるまで握る。彼の口から漏れ出しそうになる次の言葉を察してカカシが大き目の声量で名前を呼ぶが、もはやナルトの耳にも我愛羅の耳にも聞こえていなかった。
外野がどれだけ止めようと騒いだところで遅すぎたのだ。
「お前とはここで絶交だ」


生まれてきてから友達をずっと欲して生きてきたはずのナルトから出てきた言葉に我愛羅は息をのみ、静かに下唇をかんだ。
明確に我愛羅を拒んだのだった。打たれた左の頬の痛みすら我愛羅にはわからなくなっていた。


_



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -