宝石とさよなら | ナノ


▼ 512



「……某達、鉄の国は同盟を組んだ。風影殿がこの場にいないが、情報の共有をこの場でお願いしてもよろしいだろうか」
とはいっても、こちらは忍の世界には関与しないと過去に誓約した身であるから、暁についての情報にストックがないため今会談での話しか出来ないのだがと申し訳なさそうに口にする。
元々そのつもりだったからとサソリが顔布の下でミフネを見やり、次にぶつぶつ呟くナマエの後頭部を打った。
「って……!?」
「お前どこまで飛んでたんだ?」
しっかりしろとサソリから喝を入れられ、ナマエの中でわずかに燻った怯えの心を押し殺し頭を撫でさすりながらミフネの方を向き直る。
ミフネとタガヤ、そして戸口に立つ護衛の一人から視線の集中砲火を食らうが、どれもこれもこいつで大丈夫なのかという気が見え隠れしていた。
「……すみませんでした、こちらが持っている情報をお渡しします」
居心地の悪い中そう答えるとナマエはポーチの中から髪束を取り出した。
どう見ても白紙の髪束に疑問符を浮かべた各々の前で、ナマエはチクマからさんざん叩き込まれた印を結びチャクラを流し込む。
チャクラの乱れを付け焼刃のナマエが取り除くことなんてできず、五分も時間をかけて漸くうっすらと浮かび上がってきた文字の羅列に侍たちはほうと感嘆の息を飲んだ。

「この場に不穏な気配は?」
「ねぇな、少なくともオレが感知できる範囲には」
ナマエの“不穏”の二文字に暁のスパイという文字が当てはまることに気づいたサソリが不可視ギリギリまで細く伸ばしたチャクラ糸を辿るが、戸口の前に侍が二人だけだなと答えそのままナマエにバトンを渡した。
「じゃあ、まず現在私たちが確認している暁の構成員についての情報を……」
チクマを中心に手の空いている人間が日数をかけかわるがわる調べていき、サソリに照合してもらった末端までのリストを見えながら読み上げていく。
すでに死亡した者、捕縛されたものも含め、それこそ代表たちがS級しか存在していなかったことを伝えれば、噂話程度には入ってきていたがとミフネは顎鬚を撫で、眉間にさらに皺を寄せた。



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