宝石とさよなら | ナノ


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少なくとも一人で国を滅ぼせるほどの実力の者を揃えていたと、不可侵の掟を撤回し共に歩むと誓いを立てた中立国はナマエたちから詳細を耳にし剣豪の鋭い眼光でナマエを射抜く。
さらに眉間にしわまで寄せており、初対面時の柔和な面影がどこにも見えなくなり居心地の悪さに身動ぎしたいのを我慢する。
一度それを容認してしまえばかきむしらなくては収まりがつかないほどの強い衝動を抑え、ミフネたちの反応を待った。
本当に詳しいことは何も知らないのだろう。今会談がこの地に選ばれたのも風の噂程度の情報しか持っていないからなのだ。
これから話を詰めていくにしろ、最近まで内部事情について絶対に口を割らなかったサソリから、彼自身に何らかの転向があったのかリークをちょくちょくしてくれるようになったことで砂が情報の点に関しては優位に立っているのは事実で、協力を求めるならそれを開示すべきだと提案したのはチクマ本人である。
保守的な上の人間たちを黙らせ、矢面に立つ我愛羅をとにかく信用してもらうことが一番だからと分析し、整理していった彼女の功績は計り知れない。
これが里に命をささげた忍の姿なのだと砂で唯一額当てを持っていないナマエは一本線の入った額当てを持つサソリから教えられた。
鉄の国に向かう前にも口を酸っぱくして言われてきた適材適所の言葉を、チクマの背中を見てきた自分が今になってようやく理解をしだしたとき、向こうの月の桂のタガヤが口を開く。
「面の男は今まで暁にいなかったのですか」
「そうだな、構成員の末端にもいなかったはずだ」
詳しすぎる内部事情はサソリへの疑念を生みだしそうなものだが気づいているのだろうか。
タガヤの話に現実に戻ってきたナマエはサソリが返した言葉に冷や汗をかいたがおそらくあちらはその発言をスルーしてくれたのだろう。もしくはただ単に気づかなかったのかもしれないが。
うちはマダラの話から言えばあの男が暁という組織を動かしていたのだ。そういうことになるとタガヤの口から出てくれば、顔も知らねぇ男の下についていたのかと自分自身に溜息をついたサソリの呟きが聞こえてきた。



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