宝石とさよなら | ナノ


▼ 502



チクマの思惑通り、うちはサスケに狙われ会談がつぶれた今、長居は無用だとあの場を立ち去ったダンゾウたちは鉄の国を出ようとしていた。
入口で見張る侍たちの目をかいくぐろうと、先を行くトルネが毒蟲でダンゾウの歩む道を開けていく。
静かに倒れ息絶えた侍太刀を薄目で眺めながら、もう一人の護衛を連れ裏道を抜けたところだった。

「待て、いいものを見つけた」
「ダンゾウ様、寄り道をしている暇は……」
「ミョウジナマエだ」
聞いたことのある名前を耳にしたフーがはっとしたようにダンゾウの視線の先を見やる。
その姿を自身の目で確認するとそれでは自分が、と一歩前に出たのをダンゾウが止めた。
「一度ちゃんと顔を合わせたことのあるワシの方が適役だろう。トルネを呼び戻しといてくれ、その間にあれを回収する」
なぜこの国にいるのかわからんが、大蛇丸がいなくなった今安定して複製できるようになるなら好都合だ。
アレの身体の資料はこちらにもある。不死を研究していた大蛇丸の唾をつけられているような副産物だがアレを回収し根で研究を引き継ぐ。
砂の元人柱力が砂に残すのを危険だと判断し連れてきたのだろうが残念だったなとくつくつ喉の奥で笑いながら着物の裾を揺らし近づいていった。

ナマエはこちらに気づいていなかったのか、背後からいきなりフルネームで呼ばれびくりと背を震わせた。
恐る恐る振り向いたこげ茶色の瞳が怯える様に揺らぎダンゾウを映していた。


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