宝石とさよなら | ナノ


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役立たずの私が好餌と呼ばれて喜ばないわけがなかった。
好餌、つまり私にしかできないことなのである。それ故にプレッシャーもかなりのしかかってくるが、まあそれは想定内だ。
どこからこういったものを購入するのか知らないが、巾着をあさって出てきたカプセルの中に術式の書かれた紙が小さく畳まれていた。
オナモミのようにくっつくらしいので体に触れればいいという。実にシンプルであり、それ故に難易度が高い。
見つかって外されれば意味がないのでなるべく外れにくいところにひっつけておきたい。出来れば衣服のなかに。

「……ナマエ、考えはあるのか?」
チクマちゃんの任務に、今までの私を丸々とみてきたサソリが不安を表に出す。
悪態をつく口から心配の言葉ばかりを零しているサソリに音にせず密かに笑うと大丈夫、確実に向こうは接触してくると断言した。
別に秘密にしていたわけではないが、あちらはなぜか私の身体に興味があるのだ、という言い方だと語弊があるかもしれないが。

大蛇丸の研究データを買い木の葉で拉致まで働いたような人物である。無防備に一人雑貨屋をぶらついていて話しかけてこないわけがない。
おそらく最初に接触するのは護衛の一人だろうが、私は木の葉の忍だということ以外知らなければいいのだ。
細胞は摂取されるかもわからないが、怪しい動きを見せれば影たちから糾弾されるしそのまま拉致されることはないだろうと踏んでいる。
「うん、断定してもいい。アレは“木の葉隠れの里の為”という大義名分を抱えているから誤魔化しの利かない状態で不利になることはやらない」
だから皆がいてダンソウがサスケに気を取られている今じゃないと出来ないんだよとサソリへ向けてチクマちゃんは口にする。
納得はしていないようだが黙り込んでしまったサソリにじゃあナマエの回収と治療をよろしくねと告げ通信を切った。
微弱ながらも感知タイプを連れてきているだろうことは察しているしチャクラはむやみやたらと流さない方が無難だからだ。
うちはサスケの動向、暁の人間の詳細。そして大蛇丸と接触し私のデータを受け取っていた理由まで全て掴めますようにと右手に握りこんだカプセルを額に当て願った。


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