宝石とさよなら | ナノ


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ガコン。なんて不吉な音と砂が真上から降ってきた。
柱を薙いで倒したサスケを間抜けなまま見つめていたから多分そのまま上を向いたんだと思う。同じようにサソリも上を見て、そうそう大きく動かないはずの作り物の表情筋がこれでもかというほどに歪んだ。

我愛羅君たちを確認し、彼らの上には砂が自動的に傘を作り柱を作り避難所を建築している。
その“絶対防御”を見てあそこまで逃げ込めるだろうかと考え、それを否定した。
どう考えても天井の方が重い。ここから飛び降りたとしても途中で頭を潰しに来る。地面と天井でサンドウィッチになりかねなかった。

我愛羅君が下で叫んでいるのが随分と遠くに聞こえる。
サソリの傀儡は対人用暗器だからこういった巨大なものに対しては大蚯蚓の時と同じく効果はほぼないだろう。
考えても打開策が見つからないナマエの腕を引いて、壁に両掌を当てさせ三の術だと叫んだ。
サソリの声に反射的に練ったチャクラを流しだす。
高圧の雷に触れた壁は土壁だったらしい、ドロリと溶け出した壁材が再形成されていく。
熱を帯び赤黒く変化した泥は鉄の国の外気に触れ、固まりその身を成長させていった。

強い電圧に微振動で主張し始めた腕パーツを無視し、サソリは他人の腕を自分の物のように上へとずらしていく。
瞬時に固まっていく粘性の強い泥の上を層を重ねる様に駆けあがる泥。
堕ちてきた巨大な瓦礫の影で距離感がつかめない私の腕を体重をかけ下へと追いやった。

10秒もしなかっただろうか。
その間に形成された溶岩のアーチは強い衝撃音を響かせ揺れたのだった。


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