宝石とさよなら | ナノ


▼ 493



消えたサスケを追うことはせず、我愛羅は人間の身長よりも分厚い瓦礫を砂で流動させ退けるとすぐさまそれを使い上空に飛んだ。
強く吹き込んでくる外気が足首まで伸びた防寒コートの裾をはためかせる。ある程度まで登ると吹雪く雪の性で視界が白く色づいてしまった。
高度を落とし瓦礫に視線を這わせる。生きていてくれと願いながら。
被害は通路まで及んでいてあちらこちらで侍たちのうめき声が聞こえる。重傷者はすでに運ばれているだろうからこれは増援部隊だろうが……。
背中の気を逆立てた。一瞬浮かんだナマエの姿が彼らのようになっていたらと考え名前を呼ぼうとした唇が震える。
瓦礫に潰されこと切れている侍が目に入り、見慣れているはずの死体から目を背けた。
……これじゃあ岩の下を見たくなくて逃げ出したあの日と一緒ではないか。それに生きている可能性だってある。
早く助けないとと一縷の望みをかけてナマエたちがいた方向に視線を這わせていった。
高所にいたが柱のように崩れてしまったのか、ナマエのいたであろう場所には不自然に山になっている瓦礫を発見した。

……きっとここに。不安で仕方がない我愛羅は恐る恐る砂でその場に降りていく。
大丈夫、生きてる。サソリも致しナマエはその辺の人間よりしぶといはずだ。
自身に言い聞かせるように一番上の大きな瓦礫を下に埋まっているはずのナマエたちい負担をかけないように、そして周りの瓦礫が崩れないようにと砂でゆっくりとどかした。
「……?」
パラパラとこぼれる土壁に混ざったスサがその象牙色をした岩の上に落ちる。
自分がよく使う砂の繭のような、ただそれよりはいくらも不格好な球体の塊に天井に装飾品なんてあっただろうかと疑問視した。
こんなことをしている場合じゃないとはっとしてナマエを探しに戻ろうと踵を返し声を出した我愛羅の背後で、あの流紋岩でできた球体から音が発せられた。

「あっ、誰かそこにいますか!」
「ナマエか?ナマエなのか!?」
「くぐもっててよく聞こえないんだけど我愛羅君かな?悪いんだけどカンクロウ君呼んできてもらえる?」
多分カンクロウ君なら楔とかハンマーとか持ってる気がすると告げるナマエの言葉も早々に、侍たちを救出していたカンクロウを呼びに飛んだ。


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