宝石とさよなら | ナノ


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「っ…あーやっぱり来ちゃったか。あのタイミングで月の桂のええと……タガヤ殿、に確認を取っておければっていまさら言っても遅いんだけど」
うちはサスケが代理を狙っているのは本当だったんだねと低く唸るチクマの声をかき消すように侍たちの断末魔が聞こえてくる。
よほど状況が悪いのか、はたまた身構えてなかったからなのか。たぶん両方だろうが声の多さからして劣勢なのは火を見るより明らかだった。

あまり危険なことはさせたくないのだがサソリたちの奇襲から我愛羅に対して過保護になっているナマエがざわりと気を揉んでいるようだったのでその背を押してやれば「ごめんチクマちゃん、切るね」と前線に向かおうと試みる。
その過保護さと自己犠牲の精神にナマエ自身が気づいていないのを声にせず表情だけで笑い、上がってしまった口端を元に戻ししょうがないなとそれに答えた。
「りょーかい了解、戦闘は」
「五体満足で帰ってくる」
わかってるなら良い、行ってらっしゃいとチクマは敵陣に突っ込もうとしているナマエとサソリに簡易なエールを送り通信を切ってやった。

「ペインとは和解したって聞いていたが、なるほどな。多分さっき呼びに来た侍の中身はゼツだったな」
「すでに潜入されてたってことね、うちはサスケが暁に所属したんなら我愛羅君たちの居場所もばれてるだろうし」
とっくに巻き込まれてるなと眉間を揉んだナマエが加速する。それでも余裕でついていくサソリを見れば速度はお察しだがナマエはこれ以上ないほど息を切らせていた。
角を曲がり通路に倒れた侍たちがちらほら見えてきたところで足を緩めかけたが、サソリの恫喝的などっちを助けたいんだという声に反応しうめき声をあげる負傷者を見捨て駆け抜けた。



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